2021.02.23

【インタビュー】『転生したらスライムだった件』伏瀬【TVアニメ第二期が大好評放送中! 原作者の心中やいかに!?】

通り魔に刺されて死んだサラリーマンが、なぜか異世界でスライムに転生しちゃってた!? 仲間を増やして、魔物の国を作り、敵対する勢力とバトルする、最強スライム伝説!

2018年に放映されたアニメ「転生したらスライムだった件」が好評を博し、第二期アニメ、その第一部が2021年1月からオンエアされています。

<TVアニメ「転生したらスライムだった件」(©川上泰樹・伏瀬・講談社/転スラ製作委員会)

しかも4月からはスピンオフの「転スラ日記」、7月からは第二部も控えているという9ヶ月連続放送というビッグプロジェクト!

TVアニメ「転スラ日記」(©川上泰樹・伏瀬・講談社/転スラ製作委員会)

そこで今回は「転スラ」シリーズ生みの親、伏瀬先生へ二度目のインタビューを敢行しました。 

(三年前に実施したインタビュー記事はこちら→祝!アニメ化!『転生したらスライムだった件』伏瀬×川上泰樹 インタビュー|コミスペ!

原作者が注目するアニメの見どころから、コミカライズやスピンオフが6種類ある漫画作品はどの順番で読むのがいいのか? といった質問まで、ざっくばらんにお話しいただきました。

(取材・文:かーずSP/編集:八木光平)

ついにTVアニメ第二期が放映開始! 原作者の心中やいかに

──TVアニメ第二期が大好評放送中ですね! おめでとうございます。お気持ちはいかがですか?

伏瀬先生(以下、伏瀬):ついに二期が始まったかと、感無量です。事前のオンライン上映会には参加できなかったので、ファンの方々の感想が気になるところですね。

──最初の25話でさっそく温泉シーンなどオリジナル要素が出てきて、ファン心をくすぐります。

伏瀬:オリジナル要素は、原作やコミカライズなど、あちこちから要素を抽出されている感じですね。

──25話Aパートのリムルの着替えシーン、笑いました。

伏瀬:いきなりシリアスだと別の作品のようになってしまうので、一期の雰囲気のままに二期をスタートするというのが当然の課題でした。そこも考慮して、脚本が決定された感じです。

──2期はユーラザニアとの外交からです。1期の終盤、リムルが教師になるエピソードと順番が逆でした。

伏瀬:一期はシズさん関連という事で、エピソードを纏めました。二期があるという前提ならこの構成にはしなかったと思いますが、軽く流すよりは良いという判断です。

©川上泰樹・伏瀬・講談社/転スラ製作委員会

──なるほど。一期の前半で描かれたシズさんのエピソードを、一期終盤で綺麗に繋げた形なんですね。

伏瀬:今回、幸運にも二期が放映される運びとなったため、一期で触れなかった場面を回収する形になりました。時系列に若干の違和感が出てしまいましたが、外交関係から物語が動き出すという感じに上手くまとまったのではと思います。

アニメで声がついたことで、キャラに深みが出た

──一期の頃を振り返ってみて、自分の作品がアニメ化されたことについては、どういうお気持ちでしたか?

伏瀬:キャラクターに声がついたのが、個人的には最高でした。細かいところまで描写されていましたし、基本的に出来栄えは良かったと思います。

──主題歌もすごく好みです。

伏瀬:はい、主題歌も皆さんが作品を読み込んで創って下さっているのが感じられ、とても嬉しく思いました。

──アニメに刺激を受けて、原作に影響を与えた部分はありますか?

伏瀬:まず、漫画からは多くの刺激を受けています。アニメからはやはり、声がついた事でキャラクターに深みが出た事でしょうか。 後は、各国の町や建物の描写に沢山の資料を用意してくれるので、とても勉強になる感じです。

──原作者からスタッフへの要望は出されたんでしょうか。

伏瀬:そうですね、今回はギャグをなるべく少なくしてほしい、と。一期の時「リムルなら言いそう」とか「これくらいはアリかな~」と軽く流していたのですが、出来上がってから全体を通してみるとかなり多かったので(笑)

──(笑)

伏瀬:脚本の筆安一幸さんからは「気にせず削ってくれていいですよ」と言われたのですが、やっぱり何度もダメ出ししてるみたいで気になるので、最初から少な目にお願いした感じです。二期はシリアスな場面に突入するので、この点は慎重になりました。

──けっこうハードな展開も待ち受けていますからね。

伏瀬:二期はヒナタとの戦いリムル魔王化クレイマンとの決着、と見所となるシーンが沢山あります。それらがどのようにアニメ化されるのか、僕自身もとても楽しみです。

──作画については何かリクエストしましたか?

伏瀬シオンの胸のボリューム少し控えめにして欲しいと伝えたのですが、変化なかったですね(笑)

──シオンがリムルを抱える時に、胸を乗せていて大きさを実感します(笑)

伏瀬:アニメーターさんがノリノリで描いてしまうようです(笑)

実際のシオンの様子はアニメにて!(©川上泰樹・伏瀬・講談社/転スラ製作委員会)

「転スラ」ワールドを盛り上げるスピンオフの数々! どの順番で読めばいいの?

──コミカライズが幅広く展開されているので順番にお訊きします。まず、川上泰樹先生の描くコミカライズ版『転生したらスライムだった件』についてはいかがですか?

最新16巻 書影

伏瀬:原作者として言うのもなんですが、毎回毎回楽しみにしています。川上先生の解釈は素晴らしいと思う。原作よりリムルが善人なので、書籍の方も影響を受けました(笑)

──前回のインタビュー「祝!アニメ化!『転生したらスライムだった件』伏瀬×川上泰樹 インタビュー|コミスペ!」でも、途中から善人になるリムルを最初から反映させているとお話されてらっしゃいましたね。次に『転生したらスライムだった件 異聞 ~魔国暮らしのトリニティ~』について伺えればと。

最新3巻書影

伏瀬:これからどんどんと、本編では描写出来ないシーンに入ります。これも『転スラ』だと思ってもらえるような作品にしていきたいですね!

──アニメ二期のサイドストーリーに当たる部分ですよね。となると、フォスたちもアニメに登場するのでしょうか?

伏瀬:スタッフさんが遊びで入れてくれるかも知れませんので、出てくれたら嬉しいですね。

──期待したいです。そして『転生したらスライムだった件 魔物の国の歩き方』、兎人族のフラメアの物語です。

最新8巻書影

伏瀬:毎回の打ち合わせですが、とても楽しい雰囲気です。ネタはまだまだ尽きないので、本編では見られないキャラクターの一面を楽しみにして下さい。

──『転生しても社畜だった件』は、リムルがスライムのまま、現代世界の会社を舞台にする設定からして、ユニークだと感じました。

最新2巻書影

伏瀬:これはもう少し後に企画するべきだったかも。

──とおっしゃると?

伏瀬:ルミナスとか他の魔王たちが出てからなら、もっと話を膨らませられたのではないかと思います。僕が抱いたイメージと違う作品となりましたが、これはこれで味があって楽しめました。

──なるほど。『転スラ日記 転生したらスライムだった件』こちらもコミカライズの掲載誌と同じく「月刊少年シリウス」で連載中です。

最新4巻書影

伏瀬素晴らしいの一言先生は、原作者である僕以上に設定を読み込んでくれていると思う。キャラを活かすのがとても上手いので、『転スラ』という作品と物凄く相性がいいと感じています。

──リムルが3歳児になったという大胆なスピンオフ『転ちゅら! 転生したらスライムだった件』はどうでしょうか?

最新1巻書影

伏瀬:先が読めない作品。リムルが可愛い! 何が起きても不思議ではないので、これからも目が離せないですね。

──以上、スピンオフのコミックスがたくさん出ています。「転スラ」初心者はどの順番で追っていくべきか、アドバイスを下さい。

伏瀬:好きに読んでくれるのが一番!……だと思いますが、それでは不親切ですね(笑)

──具体的にお願いします!(笑)

伏瀬:個人的には、川上先生の本編コミカライズを読んで、(単行本の巻末に掲載されている)オマケの小説で興味を持ったら、原作のweb小説『転生したらスライムだった件』(小説家になろう)へ。

そこで面白い、読みやすいと思ってもらえたなら、GCノベルズから出ている書籍版の『転生したらスライムだった件』へ、というのがいいんじゃないかと。

──活字が苦手な人はどうしましょうか?

伏瀬:小説が無理ならスルーしてもらって、次は『魔国暮らしのトリニティ』や『魔物の国の歩き方へ』と繋がってくれればと思います。

──コミカライズと時系列が重なっているので、より盛り上がれますね。

伏瀬:その後、『転スラ日記』『転ちゅら!』『社畜』へと入ってもらえれば幸いです。

──どれも、キャラクターを好きになった人が深堀りできるスピンオフだと思います。

伏瀬:ともかく、無理せず楽しんでもらいたいですね。本音の希望としては、小説書籍版からがおススメ! 文字を読むのが苦痛でないなら、ぜひとも原作も読んでみて下さい!

伏瀬先生が今、注目している漫画は……?

──異世界転生や異世界転移のブームがずっと続いている状況について、伏瀬先生が思うところはございますか?

伏瀬:定期的に面白い作品が出てくるので、今はアイデアを刺激し合っている段階なのかなと思います。この流れを壊すような作品はどんなものになるのか、それも楽しみですね。

──今、ハマっている漫画作品を教えて下さい

伏瀬:『怪獣8号』『葬送のフリーレン』『俺だけレベルアップな件』『外科医エリーゼ』『ある日、お姫様になってしまった件について』等々、他にも多数あります。

──かなり漫画をチェックしてらっしゃいますね。

伏瀬:「ピッコマ」はヤバイ。気が付いたら課金してますね~。

──(笑)。それでは最後に、読者の皆さんへメッセージをお願いします。

伏瀬:応援を続けてくれているファンの皆様、お待たせしました! ようやく二期を放映する運びとなりました。9ヶ月連続放送という事で、今年は話題に事欠かないかと思われます。

アニメには、多くの方の熱意が込められております。興味を持たれたなら是非、一度視聴してみて下さい。我々製作陣としては、皆様に楽しんでもらえるのが何よりの喜びです。無理をせず、気軽に、アニメ以外でもお好きな媒体で『転スラ』と接してみて下さいね!

原作小説も最終章に突入しました。18巻は3月31日に発売(予定)ですし、その勢いのままに完結を目指す所存です。20巻で終わらせるのは少々、いや、かなり難しい気がしなくもないですが、まだ諦める時間ではありません。このままアニメに負けぬよう、執筆の方も頑張っていこうと思います!

それでは今後とも、引き続き『転生したらスライムだった件』を宜しくお願いいたします。

──ありがとうございました!

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かーずSP

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