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2018.03.10

祝!アニメ化!『転生したらスライムだった件』伏瀬×川上泰樹 インタビュー

現代日本のサラリーマン・三上悟が死んだ先で転生したのはファンタジー世界。しかも生まれ変わった姿は、最弱モンスターとして名高いスライムだった!?

Web小説投稿サイト「小説家になろう」で大人気のスライム転生ファンタジー『転生したらスライムだった件』(以下、転スラ)。『月刊少年シリウス』で連載中のコミカライズも大好評で、3月9日(金)に7巻が発売されました。

『転生したらスライムだった件』7巻

そして発売に併せて、なんと「TVアニメ化」「スマートフォンゲーム化」決定の報が!

TVアニメ『転生したらスライムだった件』ポスタービジュアル

メディアミックスでますます盛り上がる『転スラ』の魅力を掘り下げるべく、原作者の伏瀬(ふせ)先生と、コミカライズ版の作画担当・川上泰樹先生に突撃インタビュー! スライムという特殊な主人公の描き方から、小説をマンガに起こす時の媒体の違い、アニメ化第一報を受けたコメントまで、忌憚なく語っていただきました。

(取材・構成:かーずSP/編集:コミスペ!編集部)

夢中で原作一気読みしていたら、コンペの提出に遅れそうになった

───川上先生が最初に『転生したらスライムだった件』に関わることになったのはどういう経緯だったんですか?

川上泰樹先生(以下、川上):『転スラ』コミカライズのコンペをやることになって、最初に1巻だけは書籍でいただいて読みました。そうしたら続きが気になって仕事が手につかなくなっちゃって、「小説家になろう」で続きを一気に全部読んじゃいました。実に楽しくて幸せな時間でしたね。

『月刊少年シリウス』担当編集(以下、編集):川上さんがコンペの締め切りギリギリまで原稿をくれないんですよ。理由を訊いたら、原作にハマって読み続けていたからっていう(笑) そこまで原作に惚れ込んでくれた作家さんに決まったのは、嬉しいことだと思います。

川上:普通にファンとして楽しんでいる時に、ふと「これ、冒頭の目の見えないシーンをどうやって描いたらいいんだろう」って我に返ったり。純粋に楽しめた反面、いざマンガ化する時には、絵に起こすのが大変かもしれないとは思いました。

『転生したらスライムだった件』1巻

冒頭を丁寧に描き、原作の魅力を伝える

───では最初の方の作画には、かなり苦労されたんですか?

川上:序盤は目が見えないこと以外にも、ドラゴンとスライムとおっさんと狼とゴブリンばかりで、女の子が出てこなくて大丈夫かなって(笑)

伏瀬先生(以下、伏瀬):「小説家になろう」連載時も「ヒロイン誰やねん」ってずっと言われてましたから。仮面のキャラが出てきて「これがヒロインなんだろう」ってみんなが期待したら、仮面が取れておばあさんだったことで、すごい文句を言われました(笑)

編集:だからこそ、主人公がスライム型で見た目が可愛いっていうのが非常に有利でした。他の生物だったら、こんなにうまくいかなかったんじゃないかと思います。

スライム状態時の、主人公・リムル

───「女の子が出てこないんで序盤をカットします」みたいな改変の提案はあったんでしょうか?

川上:ありました。でも原作ファンはそこを飛ばしたら「逃げたな」って思うでしょうし、私も原作を読んで同じ気持ちでした。

伏瀬大事なのはファンの心情だと思います。既存ファンにまず楽しんでいただける作品にならないと、新規のファンも増えないんじゃないかと。ただこれも結果論で、答えが出ているから言えるんですけどね(笑)。当時は私からは「序盤を削るなら、それもアリだと思います」とはお答えしていました。

編集:結果の出ていない作品でしたら、そういう改変をしたかもしれません。ですが、すでに「小説家になろう」ですごくアクセスのある小説です。序盤を丁寧にやって受け入れられている作品なので、マンガでも同じように丁寧にやることで、作品の魅力が伝わってくると思いました。

ドラゴン(最強)とスライム(最弱)のギャップのある画面作りが評判になった

───確かに、序盤から飽きることなく楽しめる第1話になっています。

伏瀬:川上さんが暴風竜ヴェルドラ(ドラゴン)とリムル(スライム)のやりとりをしっかり描けていたからこそだと思います。

編集:かっこよくヴェルドラが登場したものの、ツンデレみたいな愛嬌があるっていう二面性。スライムとドラゴンというギャップも視覚的にインパクトがあって、SNSでも話題になりました。面白い画作りができたと思います。

スライムとドラゴンのいちゃいちゃ

伏瀬:原作者が褒めると自画自賛になるのでこんなことを言ってはダメなんですが、第1話のネーム段階から「これいけますよ、すごく面白いです!」ってお返事させていただきました。

───1巻では最後の方にキャバクラが出てきて、ここでようやくまともに女の子が出てきました。

伏瀬:キャバクラの女の子たちが、可愛いロリから熟女まで揃ってるんですよね。

川上:エルフだから、熟女っていってもどこまでの熟女かなって悩んだり(笑)。溜め込んでいた女の子を描きたい気持ちが爆発して、あそこは入魂させていただきました。

川上先生入魂、念願の女の子カット

原作で途中から優しくなったリムルの性格を、マンガでは最初から反映

───原作とコミカライズで、違いを感じる部分はありますか?

伏瀬:原作のリムルよりもマンガのリムルの方が優しい印象を受けます。原作の最初の頃のリムルって結構人が悪いんです。原作の担当編集から「今、1巻を読み返すとかなり性格酷いですよね」って言われるくらいです(笑)

───だんだんリムルの性格が優しくなっていったと。

伏瀬:そうです。はじめはバッドエンドでもいいという気持ちで執筆していたので、主人公にも意地悪な面がありました。けど途中から、この話でバッドエンドはまずいなってことで話を切り替えて、今の形に落ち着いたんです。

───コミカライズでは最初から善人として描かれています。

伏瀬:小説では6巻くらいから性格が丸くなってくるんですが、その性格をコミカライズの1巻からやっている感じですね。小説版のリムルが女の格好をしていると、ものすごい違和感を感じます。でもコミカライズでは違和感がなくて、まろやかになっている印象は受けますね。

人型時のリムル。「無」性なのが特徴

川上:あまり女の子っぽくしちゃうのも違うんですよね。リムルは性別がないってところが大事だと思っています。女らしい格好させた後は男っぽい格好をさせたり、どちらの性別にも寄り過ぎないようにしています。

───今までに川上先生が描かれた作品と『転スラ』で、違いはありますか?

川上俺TUEEE(※)な部分でしょうか。

(※俺TUEEE:圧倒的に強い主人公が、ピンチに陥らずに敵を蹴散らし続ける話の傾向を指すネットスラング。)

───ちなみに俺TUEEE系の主人公って、ピンチにさせるのは大変じゃないですか?

伏瀬:大変ですね。

川上:やっぱり(笑)

伏瀬:ノリで書いているときはいいんですけど、清書して書籍にする時、主人公を強くしすぎたなーって頭を抱える時はあります(笑)
強すぎるとピンチの時に「○○すればいいじゃん」ってツッコミが入ります。俺TUEEEでも説得力のある展開にしないとダメなので、そこが難しいですね。

スキルの説明は大胆にカット、マンガらしいテンポ感を大切に

───キャラクターデザインで苦労した点はありますか?

川上:原作の挿絵が存在しなかったり、キャラの一部しか描かれていなかったりすると、どう描いたらいいんだろうって悩みます(笑)
そういうキャラがあとから挿絵でしっかり描かれたり、原作8.5巻『公式設定資料集』で設定資料が公開されたら全然違うデザインだったりして。あえて変えたわけじゃなくて、当時は資料がなかったんですっていう、これは私の言い訳なんですが(笑)

原作『転生したらスライムだった件』8.5巻

伏瀬:この作品は登場人物が多いので、キャラクターデザインからもれるキャラが多数いました。原作イラストのみっつばーさんには、毎回苦労をかけております。

───他にコミカライズで大変なことはありますか?

川上:スキルの説明をそのままマンガにしても、文字だらけになってしまいます。でも『転スラ』でスキルは前提の設定なので、どれだけ省いても物語として成り立つのかっていうさじ加減にはいつも気をつけています。

伏瀬:こちらからは、スキルをひとつひとつ説明するのはテンポが悪くなるのでやめましょうと提案しました。小さい文字で書いておけば、読む人は読み込んでもらえばいいし、読みとばしても話の流れは追っていけるように描かれています。
「このスキル、どこで獲得していたんだっけ?」って思った時に、読み返してもらえばいいだろうと。

ファンタジー世界で洋式便器を出したのはこだわりポイント

───編集さんからみた、『転スラ』の魅力はどこだと感じていますか?

編集:リムルから見た仲間たちとの関係は、先輩・後輩みたいなライトな感じで、緩く接しています。けれども逆に周りのキャラクターはリムルをすごく崇拝している。関係が逆向きになった時の雰囲気の差が面白いなっていつも楽しんでます。
もう一つは、物語のスケールがどんどん大きくなっていくんですが、単純に戦闘力のインフレという意味だけじゃないんです。最初は村だったのが街になって国になっていく。世界の政治的な部分も含めたお話作りがしっかりしているのが、大きな魅力につながっていると感じています。

───最初は建築技術がなくてボロかった家が、だんだんしっかりして街並みができていく様子が、文明の進化を見ているようで面白いです。

伏瀬:そこはかなり気を使っていて、注力している部分です。下水工事も江戸時代の排水管みたいな感じでって川上さんに注文したり、細かく指定させていただいてます。

───現代の便器も出てきました。

伏瀬洋式便器はこだわりポイントでした。異世界に行った時にはトイレで苦労するだろうと思っていましたので、絶対に出そうと思ってました。

こだわりの洋式便器

川上:アシスタントさんに作画をお願いしたらトイレットペーパーが備え付けてあって、でも紙は発明されてないはずだよな、じゃあどうやって拭いているんだろうとか、色々考えました。

伏瀬砂かな?

───(笑) 次に、読者から反響の大きかった箇所はどこでしょうか。

編集:扉ページで、何も前振りもなくみんなが水着になっている回です。非常に眼福みたいな(笑)

眼福!水着ショット!

川上:あの水着扉に関しては騙されたんです。『月刊少年シリウス』の企画で「他のマンガもみんな水着を表紙で飾る号にします」って聞いたんですが……。

編集:連載作家さんたちに「夏だから水着を描いて下さい」ってお願いしたんですが、意外とやってくれる作家さんが少なかったというオチで。

川上:『転スラ』を合わせても3作ぐらいしか載ってなかった!(笑)

伏瀬先生と川上先生のマンガの原点は?&アニメ化へのコメント! NEXT

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この記事を書いた人

かーずSP

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