『山口くんはワルくない』

斉木優先生の『山口くんはワルくない』の第一巻が発売されました。

さっそくあらすじをご紹介。

高校生らしい青春を送りたいと願う。ヤクザの息子という噂がある山口くんとはかかわってはいけないと思っていたけれど、見た目に反して優しい山口くんに惹かれていって!?コワモテ関西弁男子×真面目女子、青春ラブストーリー！

標準語圏にやってきた、鋭い目つきで金髪ピアスの関西弁男子……その風貌から、周囲は恐れおののいて一切近づかないものの、実は全然怖くない優しいいい人で、という少女漫画ではもはや定番になりつつある、誤解されている系男子が主人公です。

ハクをつけるために怖い苗字とか名前つけられがちなんですけど（『ハニー』の鬼瀬くんとか）、”山口くん”ってのはセーフなんですかね？私、ちょっと心配です。

ヒロインはごくごく普通の女の子

ヒロインの皐は、絵に描いたような普通の女の子という感じで、印象的にはちょっと内気っぽい感じでしょうか。ゆえに見た目怖い山口くんとなんか、普通であれば絶対に仲良くならないような女の子なんですけれど、痴漢から助けてもらったことをきっかけに言葉を交わすように。

一度話してみれば、山口君の内面の穏やかさや、隠されたチャーミングさが伝わってきて、一気に誤解も溶けます。

皐にとっては「初めての男友達」ということもあり、さらに仲良くなろうと、あれやこれや近づくための試行錯誤をし始めるのですが、その様子がとても可愛らしいんです。

テンション低めの関西人

一方の山口くんは、関西弁を喋るものの、芸人的なハイテンションさは持ち合わせておらず、静かなタイプ。とはいえボソッと喋る内容はウィットにとんで、関西人らしいところはあったりするんですけれど。

口数少なめゆえに、ストレートに口で物事を伝えるタイプではなく、どちらかというと行動や態度で示すタイプ。愚直というか、硬派というか、その辺は男らしくてカッコイイです。

あと意外と成績優秀で優等生ってのも、この設定ではもはやお約束ですよね。

皐も人付き合いが決して上手い方ではないので、時に強引であったり、なかなか大胆なお誘いをしてきたりするわけですけれど、山口くん、ものすごく懐が深いので、全然拒否しないで受け入れてくれちゃうんですよね。

この懐の深さが魅力の源泉になっているんですよねぇ。で、すべて受け入れ続けるかと思いきや、最後の最後で男の子っぽいところを見せてきてドキっとする仕掛けがあったりと、きちんとツボを抑えたストーリー展開となっています。

ザ・王道

設定から展開から、通っていくのは王道中の王道で、ザ・少女漫画といった感じのベタな展開です。目新しさには欠けるかもしれませんが、一方で期待を裏切らない内容とも言え、ベタな少女漫画好きには是非ともオススメしたい作品です。

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©️斉木優/講談社