『女戦士ってモテないんです！』

女の子だと思ってもらえない、筋肉質女戦士の悲哀

女騎士だとちやほやされがちなのに、女戦士だとゴリラ扱いなのはなぜだろうか。多分、筋肉が見た目にはっきり出ているからだと思うんだ。どっちも素敵なのにね。

女戦士ムーデルカは、幼い頃勇者に憧れ恋に落ち、彼のために身体を鍛えて強力な戦士になった。

ところが鍛えすぎてしまった。レベルは勇者の倍近くになり、HPとちからとすばやさに至っては４倍近く。信頼はされるけれども、心配はされなくなった。

そもそも女として見てもらえていない（頼っている証なんだけど）。彼女の恋心は、届く届かない以前の問題だった。

猪突猛進、かしこさ激低、脳みその中身まで筋肉な少女のアクションは、ダイナミックで過激だけれども、心は清楚でとっても乙女。一緒にいるツインテ魔法使いとメガネ僧侶が、素で「か弱い女の子」の権化のような子たちなので、どうしてもムキムキマッチョな女戦士の粗雑さが目立ってしまう。

彼女の最大の難点は、力の制御がしきれていないことだ。ウブすぎる彼女、恋愛がらみになるとトタンにポンコツになってしまうのはまあいいとして、それで勇者を殴り殺したり、全身骨折させたりしてしまう。

勇者に女性だと感じてもらうために、なんとかしたいと奔走する女戦士は、ものすごくキュート。

というか多分このマンガを買う人は、女戦士のことを確実に好きになると思う。元気いっぱいで、一途で、一生懸命な子、嫌いになるわけないよ！

あと露出度が基本高く、筋肉量も多いので、そっちのフェチの人ならメロメロになること間違いなしの素敵なキャラクターだ。

ただ、それは勇者の見ていないところでの努力をこちらが読んでいるからであって。勇者は共に戦い冒険している部分しか知らないのだから、なかなか気づけないのも仕方ない。

鈍さもたいがいな勇者だが、彼はところどころで紳士っぷりを見せる。天然なのか本気なのか、ものすごく真摯で優しく正直。惚れてしまうのもよくわかる。どう見ても勇者と女戦士の相性は抜群。冒険においては。

願わくばこのまま恋人としても相性抜群になってほしいところだけれども、まずは力の調節をしましょう。死んだら元も子もないよ……。死んでも受け入れる勇者は本当に気づいていないんだろうか、魔法使いと僧侶はわかっていないのか、というのも含めてもっとパーティのドタバタラブコメディを見続けたい作品。

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©タイジロウ/講談社