2019.07.15

「叔父 × 甥」。禁断のプラトニックラブ!『あいをしる星』池森あゆ【おすすめ漫画】

『あいをしる星』

タイトルといい表紙といい、シリアスタッチの切ない系の雰囲気がビンビン伝わってくる装丁です。年の差カップリングで、しかもなんと禁断の愛的な組み合わせとなっております。

「叔父 × 甥」です。

大丈夫か、実の姉のお子さんですよ……?

昨今の世情を鑑みてドキドキしてしまいますね。でも大丈夫です。オビに「プラトニック・ラブ」って書いてあるのでギリギリセーフです。安心して萌えていきましょう。フィクション万歳!

10年前に一度、父の葬式で会って一緒に縁側で星を眺めただけの甥っ子・を預かることになった隆宏。原因は、なんと姉の失踪です。お姉ちゃん、息子を放置して失踪してはいけませんよ……と頭を抱えてしまう設定ですが、いなくなったものは仕方ありません。アパートを追い出されていく当てのなくなった綾を、次の落ち着き先が決まるまでという約束で連れて帰ります。

この甥っ子の綾、とっても可愛いんですよね……。すごく遠慮がちに、でも懐いてくるんですよ。控えめに家事をやってくれて、反抗するでもなく日常生活に溶け込んでくる感じです。隆宏は、家を出てから自分の生活に誰かがいるという経験がなく、ずいぶん年下の甥っ子との同居生活を心地よく感じ始めます。しかし、もちろんそれだけでは済みません。

綾は母親からネグレクトだけではなく物理的な虐待も受けていました。隆宏は一緒に暮らすうちにそれを知って愕然とします。ふとした接触に脅えてしまう綾を一人で抱える決断ができません。それでも一度は向き合おうと決意します。家事を当番制にしてみたりと、叔父と甥の同居生活はつつがなく回り始めたように見えました。……うまくいきすぎた、ということでしょうか。

隆宏はあろうことか甥っ子に、姉の子に、保護者として以上の気持ちを抱き始めてしまいます。虐待の傷も癒えていない未成年に、それはさすがにヤバイです。完全にアウトです。

まっとうな社会人としてそのやばさを自覚していた隆宏は、正式な預かり先が決まったという連絡が来た時、本人に何の説明もなく送り出します。とにかく距離を置こうとしたその判断、普通に考えて大正解です。大正解なんですが、そんなにすんなり心は納得してくれません

結局、綾のバイト先に行って本人をつかまえ、大人げとか理性とかその辺を纏めて放り捨てて告白タイムです。もともと叔父さんのことが好きだった綾も、その気持ちを受け入れます。晴れて両想いです。

愛されずに育ってしまった子が愛を手に入れるお話であり、ひとりでいるのは実は寂しいんだと、年下の同居人と過ごすことで自覚して実の甥に欲情してしまったちょっとアレな大人のお話でもあり……。

お互いほしかったものを手に入れられてハッピーエンドなのは間違いないので、あとは綾が成人するまでの間、隆宏が理性を総動員してプラトニック・ラブを貫いてくれることを祈るばかりです。

この記事を書いた人

アキミ

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