『ハルマニア』

ライトに楽しめるラブコメBLです。

表紙もライトポップな少女漫画っぽい可愛い仕上がりなのですが、帯で上半身裸の受（アイドル）が、「口止め料払ってやる」と、明らかに金銭ではないものを支払おうとしており色々と台無しです。

カップリングは、「地味なストーカー気質細マッチョSE × 襲い受アイドル」となっております。

アイドルなのに襲い受なHALは、あらゆることに素直で愛すべきキャラです。サイン会にもやってくる熱心な男性ファンにもサービスを欠かさないHALですが、ファン以外には男もOKとカムアウトして開けっぴろげに遊んでいる奔放な青年です。

そんなHALを、純粋なファンというにはだいぶ逸脱した行為の数々と共に見守るのが、自称追っかけだけど客観的に見たら完全にヤバイ系ストーカーな御子柴です。

体格だけはHALの好みドンピシャで、眼鏡を外したら実はイケメンというベタ設定の攻です。何事もなければ、彼の家の裏に部屋を借り、好きなアイドルを隠し撮りしつつ毎日手作りお弁当をドアノブに引っ掛けるだけで終わっていたはずの御子柴ですが、アイドルとデートできるという企画に選ばれてから、事態は動き始めます。

かなり行き過ぎた熱烈なファンとアイドルという関係が、あれよあれよといううちに急接近。あっという間にウブな地味系SEは、大好きなアイドルにお洋服をはぎ取られてしまうのでした。

最初は好みの身体だけが目当てだったHALでしたが、あまりにもまっすぐに好意を向けてきて自分以上に自分を大事にしてくれる御子柴に、次第に惹かれていきます。御子柴に手作りしてもらったお弁当を自慢したりと、グループ仲間にも堂々とのろける始末です。

ファンとアイドルから恋人同士になるまでの過程を、ドタバタのハイテンションで一気に駆け抜ける本作。肌色シーンが多い割には、雰囲気は楽しいほのぼのという感じで、読みやすいのではないでしょうか。御子柴への気持ちがどんどん変わっていくHALちゃんの百面相がとっても楽しい1冊でした。

©平純久至/KADOKAWA