『恋はしたいがお前じゃない』

再会ものリーマンラブです。

オフィスラブではないし、受は公務員ですがあまりお仕事描写もないのでワーキングラブという感じでもありません。なかなかカテゴライズに迷うストーリーでしたが、ベースはギャグです。それは間違いない。

カップリングは、「変人で金持ちのスパダリ × 恋がしたい地味系公務員」です。

地味って書きましたけど、恋人欲しさに出会い系に手を出す、謎な思考回路の持ち主でもあります。

子供のころからの親友の結婚が決まって、突然、孤独を実感したゲイの朝陽は、恋したいあまり出会い系アプリに手を出します。……なんでや工藤！！！？　と取り乱す程度に意味の分からん選択肢だと思うんですが、出会い系ってそういう利用の仕方があるんでしょうか……。

一瞬、己の常識が出会い系の非常識なのかと混乱しましたが、たぶん違いますよね？

そこで出会ったのが、外見は好みだけど、誘われたホテルでバスローブ着てベッドに座った後、延々と素数を数えさせて２万払うちょっと変わった男でした。準備万端整った状態で素数を数える気分はどんなものでしょうね……。

そのあと、本名も住所も知らせてなかったはずのその男が昼間にあらわれて、昔結婚の約束をしたんだから俺と結婚しろと迫ってきます。

どうも、子供のころ、結婚の約束をしてたみたいなんですよね。しかももちろん口約束で、朝陽自身は完全に忘れています。出会い系でその彼が朝陽を買ったのは当然ながら偶然でも何でもありません。

恋がしたくて出会い系に手を出したら、昔の約束をガチで信じてたヤバい天才を釣りあげちゃったわけです。BL界こわい！

子供のころ、ちょっ勉強を教えてくれていた近所の年下の男の子が、子供の口約束として忘れ去っていた「結婚してやる」という言葉を盾にお付き合いを強要してくるとは、普通は考えないものです。

それでも、なんだかんだ一緒に過ごすうちに、あれ、もしかして好きなのかも？ ってなっていくの、恋の始まりという感じでとてもほっこりします。

攻が究極に空気読めない感じのハイスペックダーリンなのがこの作品最大のギャグ要素なのですが、朝陽の行動もなかなかに面白いので、お互い様のお似合いカップルだと思います。

肌色シーンはあっさりめなので、少女漫画のノリで手を出しても大丈夫だと思います。さらっと楽しめる楽しいBLだったので、ちょっと気分を上げたい時などにぜひ、手に取ってみてくださいね！

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©志々藤からり/KADOKAWA