『かめばかむほど甘くなる』

ヒナチなお先生の新作『かめばかむほど甘くなる』の第１巻が発売されました。

さっそくあらすじをご紹介しましょう。

何にでも興味津々の興味フル女子の耀。ある日、スーパー塩対応で彼女と別れ話をしている柏葉流を見かけてからというもの、いつもの癖で流に興味を持つように。けど、それがこの試練の幕開けだった!? そう、流は関わって幸せになることなんてひとつもないと噂され、人にも物にも興味がない“興味レス王子”だったのです！ 興味フル女子と興味レス王子のアオハルストーリー開幕！

ヒナチなお先生、新刊ラッシュですね。先日発売された『つづきはまた明日』も面白かったのですが、本作も負けず劣らず面白い作品となっております。

興味フル女子なヒロイン

本作の主人公・耀は、とにかく何にでも興味を持って全力で色々なものに食いついてしまう女の子。興味の対象は、モノであり、人であり、イベントであり、有形無形の様々なもの全てが彼女にとって魅力的に映ります。

友達はたくさん、SNSのフォローもフォロワーもたくさんで、色々なものに手を出し過ぎて時にキャパオーバーになることも（が、それもまた良しとするタイプ）。

何かに興味を抱くパワーもさることながら、新しいものとの出会いを心底楽しめるポジティブさが前面に押し出されたキャラクターで、そのエネルギッシュさに、見ていてとても元気がもらえるような魅力的なキャラクターです。

興味レス男子なヒーロー

そんな彼女がひょんなことから興味を抱いたのが、イケメンでありながら、誰に対しても超絶塩対応をすると評判の興味レス男子・柏葉流。

とにかく無口、無反応。元々の生きるエネルギーが低いってわけではなく、そのイケメンっぷりが災いして色々な面倒ごとに巻き込まれた過去から、予防的に周囲をシャットアウトして今のスタイルになったという感じ。

耀が必死になって「好きな人がいる世界ってすっごい輝いてんだよ！」と伝えてくる姿にちょっとだけ心動かされ、「だったら俺が好きになれそうなことを探してみてよ」と、２人の関係がスタートします。

ドキドキはありつつも微笑ましく穏やか

んで、耀は柏葉くんに色々興味を持ってもらおうと、一緒にゲームセンターに行ってみたり、一緒にお話をしてみたり、オリエンテーションで一緒に過ごしてみたりするわけですが、結局気づけば耀の方が柏葉くんそっちのけで色々なことに夢中になってしまうというパターン。

ま、そんな色々なことに興味津々で心から楽しむ姿が、柏葉くんにとっては何よりの興味の対象だったりするわけで、徐々に二人の距離が接近していくっていう、お約束なやつですよ。分かっててもその展開にニヤニヤしてしまいます。

最初「風変りなイケメンを愛でる作品か？」かと想像していたものの、実際ふたを開けてみたら「イケメンがワンコみたいなヒロインを見守り愛でる」っていう作品でした。

結構めんどくさい系の相手役かと思ってたのですが、むしろ懐深くヒロインを受け入れてる感があり、イケメンという派手な見た目とは裏腹に、紡がれる恋模様はかなり穏やかというか、心癒される雰囲気となっております。もちろん恋愛的なドキドキもあるのですが、それだけじゃないぞ、と。『かめばかむほど甘くなる』というタイトルがまさにピッタリ。

『つづきはまた明日』ともども、今後のブレイクを期待したい一作でございます。

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©ヒナチなお/小学館