『ウェディングコール～アラサーメガネの婚活日記～』

七島佳那先生の『ウェディングコール～アラサーメガネの婚活日記～』の第1巻が発売されました。

32歳で恋愛経験ゼロな喪女・鏡子。婚活を始めるも、自分に需要がないと思い落ち込む毎日……。そんな中、年下のイケメン・玉ノ井が鏡子の婚活に協力してくれることに。途端に、ハイスぺ男からお見合いの申し込みが……。

32歳恋愛経験ゼロの喪女

七島佳那先生は前作『今度の恋は勝ちましょう』で、アラサーの恋愛と競馬を絡めるという異色のストーリーを展開しましたが、本作はそことちょっとしたつながりがあるスピンオフ的作品となっています。

競馬の次にぶっこんで来たのは、32歳で恋愛経験ゼロな喪女でした。

ヒロインは表紙の奥にいるメガネの女性・鏡子。風貌は抜群に仕事できそうな経理って感じがしますが、SEです。真面目に勉強をしてきた理系女子。

学生時代は恋愛にうつつを抜かす同世代の女子を、心のどこかでバカにしてきたものの、30代を迎え婚活を始めたことで、自身の置かれている状況を自覚。今となっては、恋愛をきちんとできる女性たちを凄いとすら思っています。

冷静に自分を見ることができる素敵なヒロイン

「喪女」ってどこか卑屈な印象もあるのですが、彼女の場合そういった卑屈さとは無縁で、自分自身をかなり客観視して冷静に分析できている印象なんですよね。身の丈をしっかりと弁えているというか、変に高望みせず、自分に需要がないことをしっかりと認識した上で、腐らず婚活に臨んでいる。

出会う相手も当然上玉なんていないわけで、時に「なんだこいつ」というようなヤツに当たったりもするんですが、相手のことを蔑んだ目で見ることも無い。随所に滲み出る真面目さが気持ち良い、非常に好感の持てる女性です。

そんな素敵な彼女なのですが、やる気はあるものの、恋愛経験ゼロ。いかんせん自分自身を磨く術を持ち合わせていません。婚活サイトに登録している写真はまるで履歴書の証明写真。オシャレ着なんて持っておらず、「スカートが良し」という情報から、お相手とのお食事にはスーツで出向く……その様子はさながら転職活動。

そんなやる気空回りな彼女を、同僚の結婚式で出会ったイケメン男子・玉ノ井がひょんなことから支援してくれることになり、物語は動いていきます。

突然2人の素敵な男性の板挟みに

元々婚活の応援なんて目的でなく、別の要件で会っていた2人なのですが、鏡子の婚活事情と、彼女のあまりのピュアさ・無知さに危なさを覚えた玉ノ井が、思わずサポートを申し出るというような展開。服装の指南にはじまり、お相手の品定めなど、あらゆる角度から彼女に助言をしていきます。

そんなある日、好条件の男性からアプローチが入り、事態はさらに展開していき、表紙に描かれているような三角関係の状態に。

婚活で出会った条件最高の男と、親身になってくれる男友達との狭間で、揺れることになる……はず。

イケメンから婚活支援を受けられて、さらに恋愛に発展なんてなかなか都合の良い展開ではあるのですが、これも鏡子の素直さや純粋さがあったからこそ引き出された結果という印象が強いんですよね。だから無理やり感どころか、個人的にはむしろかなり納得感があります。

一方、婚活サイトで突如マッチングしてきた好条件男子についてはラッキー以外に言いようはないのですが、それゆえの不気味さみたいなものがあり、今後の展開への期待感を高めてくれます。

比較的展開も早いので、サクサク読み進めることができます。さほど長期戦にはならないのではないかと思っているのですが、果たして２巻ではどんな様相を呈するのか。続きが楽しみな一冊です。

試し読みはコチラ！