『世話焼きJKと首だけデュラハン』

本日は「マグコミ」で2019年4月から2020年9月にかけて連載された“逆”異世界転移コメディ『世話焼きJKと首だけデュラハン』をご紹介。

とあるファンタジー世界に、悪しき魔王を倒そうと決意を固めたひとりの少年がいた。名前はジャック。彼は戦いの助けとなる仲間をつくるため、彼から見た異世界──我々のいる現代の地球にむけて召喚魔法を発動させたのだが。

一体なんの事故か、逆にジャックのほうが地球へと召喚されてしまう……しかも胴体をもとの世界に残して、頭部だけが切り離された状態で！　

しかし不幸中の幸いというべきか、生首ジャックは転移した先で親切な少女に保護されることになる。彼女の名前はケイ。アパートに一人暮らしの女子高生だ。

愛嬌たっぷりで面倒見のいいケイは手ずからジャックにごはんを食べさせてくれて、ベッドに入れてくれて、歯磨きもしてくれて、お風呂まで……。日々のあらゆるお世話を焼いてくれる少女の前で、ジャックはもはや赤ちゃん同然。

（物理的に）手も足も出ず、されるがままな生活はまさにヒモの究極形。快適さともどかしさが入り混じり、なんだかこう、たまらない！

優しさいっぱい、でも小悪魔的にふりまわしてくるところもあるケイに魅了されたジャックは、魔王を倒す使命に立ち戻って世界を救うことができるのか！？

……という具合に、かわいい子から一方的に可愛がられるシチュエーションを煮詰めて「首だけになって同棲」というすごい構図を用意できた時点でもう勝ってる（？）作品である。

また一方ケイちゃんの側からみれば、どんなにスキンシップを深めても“安全”な関係を保てる男の子を手に入れたわけで、活き活きと楽しげに世話を焼くその姿を見てむしろ彼女に対してこそうらやましいと感じる読者もおられるだろう。そういう両面性にも注目だ。

なお元の世界に残ったジャックの胴体、つまり首なしのデュラハンめいたありさまとなった身体のほうも独立して動いており、現地の人々が混乱する様子が並行して描かれていく。

そのため、現実を舞台とした同棲コメディとファンタジー世界を舞台としたドタバタ喜劇という二つの作品をまとめて読むような感覚が味わえる。一粒で二度おいしい。お得ですな。

さて、そんな本作は全20話で最終回を迎え、書籍は2巻で完結となる。最終巻の続報を待ちながら、まずは前半となる第1巻をチェックしていただきたい。

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©アユタミシン/マッグガーデン