2020.12.08

正反対のクラスメイトが親の再婚で義理の姉妹に!傷つきながらも深まっていく女の子同士の絆を描くヒューマンドラマ。『ふたりのポラリス』柚原瑞香【おすすめ漫画】

『ふたりのポラリス』

今回ご紹介するのは、11月25日に3巻が発売されたばかりの、『ふたりのポラリス』。

「りぼん」で連載中の作品、と言われると恋愛ものの少女漫画かな? と思う方もいるかもしれませんが、本作では女の子同士が少しずつ絆を深め、助け合って成長していく様子が描かれます。

本音を言えないイケてる女子と、パシられてる地味め女子

(ひかり)はクラス内で“イケてるグループ”に属している高校一年生の女の子。けれど、表面上は華やかな日々を送っているように見えて、グループ内の互いに空気を読み合うような関係に、疎ましさを感じています。

そしてなにより、本音を口にできず、作り笑いで話を合わせることしかできない自分に、いちばん嫌気がさしていたのでした。

星が本音を口にできなくなった原因は、もとを正せば母親との関係がきっかけ。離婚してから、ひとりで星を育ててきた母親と、彼女を支えようと頑張ってきた星。しかし、母親に彼氏ができたときに告げられた言葉によって、「本音をぶつけてもきっと通じない」という諦観を抱いてしまったのです。

ある日、星はクラスメイトの地味めな女の子・深月(みづき)が他のグループにパシりに使われているのを目撃。場の空気に合わせて深月の陰口を叩いてしまう星ですが、それを本人に聞かれてしまいます。

翌日、母親に「会ってほしい人がいる」と言われて出掛けた星を待っていたのは、母親がお付き合いをしている男性と、その娘。そしてこの娘とは、クラスメイトの深月だったのでした。

母親は星にこう言います。「私たち、結婚したいと思ってるの」──。

義姉妹になってからも、変わっていくふたりの関係

義姉妹になって、深月の純真な内面を知れば知るほど、星は深月が学校で受けている扱いを変えてあげたいと思うように。深月自身も、星とのつながりを切っ掛けに、自分を卑下するような考え方を変えようと努力しはじめます。

一方で、星の“人と本音で話せない”という性質も、かなり根深い問題として描かれます。深月が加わったことで、星が疎ましさを感じていた友達付き合いにも変化の兆しが……。それぞれにまったく異なる問題を抱えたふたりは、助け合い、ときに傷つけ合いながらも、少しずつ絆を深めていきます。

人との接し方、気の持ち方をほんの少し変えれば、自分が見ている世界の息苦しさ、辛さも、違って見えるかもしれない。星と深月が影響を与え合って変わっていく様子を見ていると、そんな希望を抱くことができます。

ちなみに誕生日で考えると、ふたりは星が妹で、深月がお姉さんの関係。これから“それっぽく”なっていくのか? それとも“星と深月らしい”あり方がほかにあるのか? 少しずつ変わっていくふたりの関係性の行方が、楽しみです。

試し読みはコチラ!

この記事を書いた人

小林 白菜

このライターの記事一覧

無料で読める漫画

すべて見る

    人気のレビュー

    すべて見る

        人気の漫画

        すべて見る

          おすすめの記事

          ランキング