『いとおしき日々』

これはなんというか、とても穏やかで良いBLです。

カップルの年齢は、50代×60代という余裕の合計100歳越えです。10代と20代で出会ってから20年を超える付き合いの彼らの、出会い～未来までを描いたお話です。

年齢差10歳の彼らの出会いは、家庭教師と受験生。

10も年下の、しかもまだ10代でこれから学生になる男に好きだと言われて、ハイお付き合いしましょう僕も好きですとなる28歳はなかなかいないでしょう。信じてもらえるまで10年でも20年でも待つという18歳。それを有言実行した当時18歳で現在50歳。なんというイケメンでしょうか。

一緒に暮らしていても、命にかかわるようなときに傍についていられないと、事故に遭って実感してから養子縁組をした彼ら。

それからさらに時間は過ぎて、先に定年退職した真は、家で時間を持て余しながら和彦の帰りを待つ暮らしになっています。和彦が退職したら、二人でのんびり暮らそう、なかなか行けなかった旅行にも行こうなどと楽しい話し合いをしたりします。

ふたりで入る墓を買う話をしたり、お互いに遺言を残し合ったりと、とにかくなんというか、人生です。

ボーイズラブから始まって、おっさんズラブになって、じいちゃんズラブになって。

人生の節目節目に、常に愛し合うパートナーが傍にいる幸せを1冊かけて丁寧に描写してくれています。

おそらく、彼らの親や親戚関係など、なんらかのトラブルはあったのだろうと思われるのですが、そういう問題はほぼ出てきません。出さなくて正解だったんじゃないかなと思います。二人の暮らし、人生に照準を絞って時間軸ごとに見せてくれた、心がほっこり温かくなる素敵な作品です。

しっかりBLですので、お洋服を脱いでギシギシする50代×60代も楽しめます。事の前にお互い精力剤を飲んじゃうところから愛おしいんですよ。癒しが欲しい時に、ぜひぜひ手に取ってほしいBLでした。

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