2021.02.11

沖縄あるある満載、超元気っ子と照れ屋の少女と都会からきた少年の、ほんわかあったかラブコメディ!『沖縄で好きになった子が方言すぎてツラすぎる』空えぐみ【おすすめ漫画】

『沖縄で好きになった子が方言すぎてツラすぎる』

沖縄あるある満載、超元気っ子と照れ屋の少女と都会からきた少年の、ほんわかあったかラブコメディ

日本人が大好きだと思われる、ご当地あるある。この作品は沖縄のあるあるをオムニバス形式で詰め込み、少年少女のドタバタを軸に話が進んでいくラブコメディ。1ページめで日焼けした元気少女が出てくる。2ページ目でシーサーの置かれた学校が出てくる。沖縄感はどこをとっても満点。

本州から沖縄に引っ越してきた少年の中村照秋(なかむら・てるあき)。彼は沖縄で出会った元気ハツラツ少女の喜屋武(きゃん)ひなのキラキラした笑顔に心を奪われっぱなし。

ただ喜屋武は方言、いわゆる「うちなーぐち」すごすぎて何を言っているのか全然わからない。

そんな彼にうちなーぐちを教えてくれるのが比嘉夏菜(ひが・かな)。喜屋武と真逆でクールでミステリアスな空気感の少女だ。喜屋武と仲良しの彼女がわざわざ中村にうちなーぐちを教えるのは、彼女が中村に好意を寄せているからだった。

喜屋武が好きな中村、中村が好きな比嘉、幼馴染で大親友の喜屋武と比嘉。ほんわかのんびりあたたかい三角関係が生まれる。

片思いが入り組んでいるのだが、ギスギスは一切ない。喜屋武の朗らかな性格と比嘉の一途さに焦点があたっているので、青春と初恋の甘酸っぱさが安心して楽しめる。

特に比嘉のヒロインっぷりが2巻では炸裂中。うちなーぐちを中村に教えているのは、彼女が話すきっかけがほしいから。でもいざとなると恥ずかしくなってひいてしまう内気な彼女がとてもキュート。中村は優しい好青年で、のびのびと比嘉に接してくれるものだから、比嘉の恋する乙女心は毎回加速するばかり。

たまたま中村に出会った比嘉が「じゃあ…買い物行こうね」と発言して去ろうとするシーンがある。中村はそれを聞いてニコニコで「いやー楽しみだなー」と着いてきてびっくり。

これは比嘉のうちなーぐちだと「買い物に行きますね」と照れて下がった意味だったのが、中村には「行きましょうか」と言うお誘いに聞こえたから。後から気づいた比嘉、もう顔が真っ赤。でも引っ込み思案だった彼女としては思わぬところでデートになったわけで、ドキドキニヤニヤ。というかこれで二人きりのお買い物しちゃう中村、脈アリでは?

さらに比嘉が中村のことを好きだと気づいた他の友人が策を立てるものだから、距離は接近するばかり。一応中村が喜屋武のことを好きで仲良くしたがるシーンもあるものの、比嘉視点から見た恋物語の比重が作品では加速中、どんどんヒロイン度があがっている。

ラブコメは作品を占める割合としてはちょうど半分くらいで、もう半分が沖縄うんちく、というのもバランスがよくて読みやすい。ほぼ外国語レベルのうちなーぐちをめぐる文化差からはじまり、ゆったりした時間で生きる沖縄の人の価値観や、カチャーシーにエイサー、傘をささない習慣や海に入らないビーチパーティなど、沖縄に行かないとわからない風習がかなりの量解説されている。

素敵なのは喜屋武や比嘉など若い子たちだけでなく、老若男女たくさんの人々あっての沖縄文化であることをちゃんと描いているところ。

パワフルな地元の老人から外でワイワイ走り回る子供まで、たくさんの沖縄の人が出てくる。みんな沖縄を愛し、文化を受け継いでいる。中村はそんな文化を主に比嘉・喜屋武から教えてもらいながら、大人こどもすべての地元の人々の中に溶け込んでいこうとしている。

周囲の人々は都会っ子の中村が沖縄文化に近づいてくれることを、喜びもてなす。そのため中村と比嘉の恋は学校単位のものではなく、地域の大人たちがわいわいやっている中で育まれていく……というのはなかなか新鮮な描写。

キャラたちの恋愛がどう転んでも、沖縄の人々のあったかい空気の中ならまず大丈夫だろう、と安心して見られるのが魅力。作者は実際に沖縄在住で作品を描いているそうなので、人や町や海の描写がこれからも生き生きと描かれることに期待したい。本を開けば沖縄の人々の幸せに必ず出会える。

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たまごまご

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