『突然パパになった最強ドラゴンの子育て日記 〜かわいい娘、ほのぼのと人間界最強に育つ〜 THE COMIC』

本日のピックアップは「小説家になろう」発、Web小説の商業書籍化からのコミカライズ。Webマンガ雑誌「コミックライド」で連載中の『突然パパになった最強ドラゴンの子育て日記 〜かわいい娘、ほのぼのと人間界最強に育つ〜 THE COMIC』を紹介したい。

舞台は人間・エルフ・ドワーフなどさまざまな種族が生きる、とあるファンタジー世界。そこに古代から悠久の時をこえて存在しつづける、一匹のドラゴンがいた。

強大なドラゴンは人々から勝手に神様あつかいで崇拝されることもあったが、本人は煩わしい俗世などおかまいなし。お気に入りの山で寝そべって空や草花を愛でたり、森をお散歩してまわる悠々自適の暮らしで満ち足りていた。

だがある日、彼の世界はひとつの思いがけない出会いをきっかけに激変する。
ふいに現れたのは、見知らぬ人間の幼女。自分の名をオリビアと告げるのがやっとで言葉はたどたどしく、何故か出会いがしらからドラゴンを「パパ」と呼んでなついてくる。

子を作った覚えはないし、そもそも竜と人が親子であるはずもない。迷子だろうと当然のように判断したドラゴンはヒト型へ変身して、幼女を山から外へ送り返そうとする……が、降りていった先の人里で腹立たしい事情を知ってしまう。

幼女オリビアは、実の親に捨てられていたのだ。父親になるつもりのない男が不本意にもうけた子供をもてあまし、「お前は拾い子で本当はドラゴンの子だ」と言い聞かせたうえで森に放り捨てたのだという。だから、オリビアは本気でドラゴンをパパだと信じ、頼っているのだ。

このままオリビアを返していいのか？ いいや！ 怒りと哀れみにかられ、たまらずドラゴンはオリビアを抱き上げて宣言する。

「決めたよ ボクが君のパパになる…！」

かくしてヒトの娘を世話すると決めたドラゴン。賢くすこやかに成長をみせる娘の一挙手一投足に親バカな感動を何度も噛みしめつつ、彼女のため生活環境を整えていく。具体的には娘と暮らすお家を手に入れるため、いきなり魔王のもとへ乗り込んでお城を借り上げたり。最強ドラゴンの子育て日記がきょうもまた1ページ……。

というわけで、寿命も種族も大きく異なる人間の娘を子供として可愛がる、ドラゴン養父の心情をつづったファンタジー家族物語である。

血のつながらない親子の真に迫る家族愛というのは現実ベースでも描ける題材だが、ファンタジーの異種族という形を通すことで寓話として一層こころに沁みこむ趣向になっている。世界をおびやかせるドラゴンがふるう超常の力がすべて、ただ一人の人間の子供に捧げられる大小の落差。コミカルであると同時に、いわゆる“尊い”感覚をかきたててくる。

このコミカライズでは、作画がとても繊細かつ柔らかな線でキャラクターの優しい雰囲気をもりたてているのが見どころ。ほのぼの・しみじみとしたおとぎ話の性質が、ビジュアル面から濃厚に作品へ与えられている。いいマンガ家さんがつきましたね〜。

なお、単行本は第1巻が2021年4月27日に発売。収録範囲はドラゴンとオリビアが親子になってまだ間もない時期までで、サブタイトルにいう「人間界最強に育つ」のくだりは今後の連載を待つことになる。今のうちにチェックして追いかけていこう。

試し読みはコチラ！

©火事屋, 蛙田アメコ, せんちゃ/マイクロマガジン社