2021.04.30

下町の商店街を舞台に、人間と、人間の姿で暮らす「化け猫」たちとの日々を描いた、ちょっと不思議で癒し指数高めの化け猫ファンタジー!『怪奇千万!猫町商店街』金魚鉢でめ【おすすめ漫画】

『怪奇千万!猫町商店街』

ここは猫と人間が一緒に暮らす商店街。猫たちには秘密があり、人知れず人間の姿で生活をしています。しかしそれを知る者が一人。その名は、兼芳商店の二代目店主の兼芳智聡。智聡は化け猫たちと人間の生活を守るため、相棒で化け猫の小虎と一緒に今日も商店街を駆け回る……!?

下町の商店街を舞台に、人間と、人間の姿で暮らす「化け猫」たちとの日々を描いた、ちょっと不思議でやさしい物語。

物語の舞台となる猫町商店街は、夕日坂通りとよねこ通りという2つの通りがクロスする造りとなっており、「夕日坂通り」は主に人間が、「よねこ通り」は化け猫たちが営む店が立ち並びます。

人間たちは彼らが化け猫であるということには気づいておらず、両者の折り合いもあまりよろしくない。というのも、化け猫たちはその正体を隠すため、なるべく人間とは距離を置くようにしているから。そんな中、唯一秘密を知り、両者の間を取り持つ役割を担っているのが、主人公の智聡。変わることのない街並みの中に起こる、ちょっとした事件を、相棒の化け猫・小虎と共に解決していきます。

表紙からもなんとなくわかるかと思うんですが、可愛らしい絵柄で、猫を交えつつ繰り広げるので、とってもほっこり心温まるようなストーリーが多め。

飼い主と離れてしまった子猫が化け猫となり、夜な夜な商店街に現れるのに対処したり、商店街の盆踊りをみんなの協力を仰ぎつつ企画したりと、人情ものといった表現がよく似合う物語が展開される中、まだまだ半人前といった感じの智聡が奮闘しつつも商店街で居場所を見つけていくという、成長ものの側面もあり。

1話ごとに物語を楽しみつつも、物語全体を通しても楽しめる要素が落とし込まれています。

商店街というのは歴史あるものですから、店を営む人たちも年上が沢山。主人公の智聡は店主としては最年少といった、いわば弱い立場でちょっと頼りない一面が見られるシーンもしばしば。

しかしながら、物語にはたくさんの子供たちが登場し、そんな彼らに対してお兄さんらしく振る舞ったり、好き勝手やってしまう化け猫たちを上から諭すなど、「しっかり者」として立ち居振る舞う場面も多くあります。縦と横の様々なつながりの中で、彼の色々な側面が引き出され、少しずつではありますが人間として成長・醸成されていく様子が垣間見えるのがまた面白いと言いますか、とても親近感が湧くんですよね。

あと、作中ではサブストーリーでしかないんですが、化け猫に恋してしまった男の子と、人間の男の子から想われて悪い気がしていない女の子(猫)との、もどかしすぎる恋模様が本当に最高でして。

互いに口下手な感じで、言葉少なげな中、自分の想いを伝えようと一生懸命なんですが、なかなか距離が縮まらない。ピュアッピュアで、この2人の絡みを読むためだけにこの本買っても後悔しないだろうってぐらい、かわゆい。延べページ数でいえば本当に数ページってところなんですけど、少ない中でガッツリ心掴むだけの、儚く甘酸っぱすぎる描写がとにかく素晴らしいんですよ。

癒し指数高めの化け猫ファンタジー、オススメでございます。

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いづき

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