2021.08.15

現実の地球に似ているがちょっとだけ異なる、人と竜が共存する世界を舞台にした日常漫画!『騎竜免許とった女子高生』高野裕也【おすすめ漫画】

『騎竜免許とった女子高生』

今回のピックアップは「ガンガンオンライン」で連載中の『騎竜免許とった女子高生』。

現実の地球に似ているがちょっとだけ異なる、人と竜が共存する世界を舞台にした日常漫画である。

主人公・たつみは16歳の女子高生。彼女はいま、ついに念願の免許をとってさっそうと公道を進んでいた。

ただし、その道とは地面ではなく空中に定められた“公空路”。そして乗っているのは鱗におおわれた巨躯に翼を広げる爬虫類的な大型生物……そう、(ドラゴン)である。

この世界では、竜は古来より人類と共に暮らし、様々な仕事の役に立つパートナー的存在だという。大空を飛行できる竜たちはとくに交通手段として活躍しており、免許をとれば彼らに乗ることが社会的に認められる。たつみは免許の試験に合格し、晴れて竜の背中に身を預けているというわけだ。

たつみが乗るのは、幼い時からずっといっしょに育って家族の一員になっている竜のリュー。学校の登下校やちょっとしたお出かけなど、竜に乗ることで少女の日常生活に新しい彩りが加わっていく……。

という具合に、ほぼ現代社会と同様である世の中にドラゴンという要素をぐいっとはめ込んだ風景が楽しいロー・ファンタジー作品になっている。

本作における竜とはペットを兼ねながら、バイクや自転車・自動車などのように公的な資格や一定の技術を必要とする乗りモノだ。

“それ”に初めて乗った若者が、それさえあれば何処にでも行けるかのような万能感と、世界が一気に広がったかのような解放感を味わう青春の一幕。多くのひとに馴染みのあるシチュエーションだろう。

バイクや自転車のようにフットワークが軽く、自動車のように力強く、さらには乗用馬のように人格的な個性をもつ存在。

現実にある乗りモノのどれにでも通じる要素をひっくるめて備え、そのどれかでわれわれが現実に抱きうる気持ちをまとめて表現できるのが“騎竜のいる現代社会”というモチーフ立てなのだ。

劇中で、飼い主へ素直になついて感情豊かなリアクションを見せてくれる竜の愛らしさは、こりゃーたしかに人間にかわいがられる相棒だろうな、という納得感が大きい。

同時にその納得は、現実に照らしてみると自転車・バイク・車のオーナーは自分が念入りに手入れする愛車を同じように“相棒”としてかわいがっているだろうという気付きにもつながってくる。

人が乗りモノのように竜を愛する漫画を通して、竜を愛するように乗りモノに親しむ我々の営みが浮き彫りにされる。ファンタジーがもつ象徴の力をとてもうまく機能させた漫画といえる。

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miyamo

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