『蜜果』

表紙からもうかがえるように、わりと肌色寄りのお話です。夜の街の住人同士の恋なので必然的にそうなりますね。

カップリングは、「バリタチウリ専×ノンケホスト」という、夜のお仕事同士で受はノンケという、トラブルの香りしかしない組み合わせです。本来なら恋人が独占するはずの身体を売り物にして稼ぐわけですから、何も起こらないわけがないのです。

ノンケのはずが、バリタチの貴宏に後ろを開発されて女を抱けなくなってしまったホストのレオですが、大金を落としてくれる太客にハプニングバーへの付き添いを依頼され、断り切れずに休みの日に同行することになります。そうするともちろん、ただの付き添いですむはずもなく大胆にお誘いを受け、もともとはノンケなものですから普通に反応してしまいます。いわゆる枕営業を求められたわけですが、それを知った貴宏が見過ごすはずがありません。

ハプニングバーに風俗店経営店長が潜入。恋人を太客の前で奪取、からのそのまま行為に突入。

訳が分からないままお気に入りのホストを男に奪われるというハプニングに見舞われた太客女性、貴宏が連れてきた女性と呆然と席に着き、その女性が女装男だと気づいて二度びっくりという二段構えの災難に遭う羽目に。ハプニングバー、その名に恥じない仕事ぶりです。

そんな感じでとにかく身体を使ったコミュニケーションがとっても密な本作。

おそらくちゃんと両想いなのですが、身体が先走って理性的な部分の理解が追い付いていないが故のすれ違いが発生してきます。本当に俺のこと好きなの？　身体目的じゃなくて？　というもっともな疑惑をなかなか晴らすことができません。

夜の街のお仕事故に、心が伴っていてもいなくても恋人以外の相手とそういう雰囲気になったりすることもあり、雰囲気どころか最後まで行っちゃってもおかしくないこともあり、なかなか心が落ち着きません。貴宏に可愛い可愛いと言われても、対等と扱われていない気がしてそれすら気なってしまうレオは、どんどんドツボにはまっていきます。

同棲までしているのに、恋人になった感が味わえなくてやきもきする感じがたまりません。嫉妬したりされたり、愛されているのにそれに気づいていなかったり。

下半身の濃厚なコミュニケーションをもうちょっと上半身でもよろしくな展開が多い、肌色率高めのBLでした。関連作品と2巻もありますので、気に入ったらまとめてゲットして楽しんでくださいね。

©️akabeko/シュークリーム