2021.08.30

食糧としてヒナを拾い親になる覚悟をして名を与え、情が深まりすぎて最後は…!? 狐×鷹の異種間恋愛育児系BL!『狐のよすが』ミナヅキアキラ【おすすめ漫画】

『狐のよすが』

しっとりした切ない系のBLを描かせたら天下一品のミナヅキアキラ先生のファンタジー異種間恋愛ものです。様々な種族が住む森でたった1匹しかいなくなってしまった狐と、彼に拾われた鷹の子のお話です。

カップリングは、「狐×鷹」となっており、年の差ものでもあります。
ある日、森で鷹のヒナを拾った九重は、満腹だったこともあって非常食としてそのヒナを持ち帰りました。

狩りがうまくいかなかったときに食べよう、食べるからには大きくして肉を増やしておこうとえさを与えて世話をしているうちに、鷹のヒナはカタコトでしゃべりながら九重に懐き始め、もうそうなると情が湧いて簡単には食べられなくなってしまいます。

それでもしばらくは非常食だと言い張る九重ですが、蛇にヒナを食べられそうになったところを間一髪で助けた時に諦めました。異種族ですが、親としてこのヒナを育てると決心して「よすが」と名を付けます。

一方のよすがは、まだ子供でいまいち自分の立場を把握しきれていません。食べるために傍に置かれているんだぞと指摘されると、「ここのえのために おいしくそだってみせる」と宣言したりします。

結果的にはご飯として食べられることはないんですが、別の意味で食べられるというところに着地します。流れは完全に、源氏物語の光源氏と紫の上です。食糧として拾い、親になる覚悟をして名を与え、情が深まりすぎて最後は「孕ませたい」となっていくのです。雄同士で、しかも種族も違うので、次世代を繋ぐという意味でのつがいには絶対になれない相手です。

九重は森に棲んでいた狐一族の最後のひとりです。ほかの仲間たちは、みんな病気で死んでしまいましたので、自分の縄張りの範囲内で同族のつがいを持つことはかないません。

よすがとは種族が違うので、彼らは本来であれば交わることのない相手をつがいとして意識してしまったことになります。気持ちに抗いきれずに身体を重ねたものの、よすがにはまだ森で鷹として同族の相手を見つけられる可能性があるのです。狐が傍にいなければ、よすがは本能に従って正しい相手を見つけるだろう――そう思って九重は一度は身を引き、守るべき縄張りを捨てて森の外に出ます。

しかし、よすがはもう自分の相手は九重だと決めてしまっており、飛べない鷹だったのを、森で師を見つけて練習して、いなくなった九重を空から探し出します。

雄同士で異種族で、繋がりなんてどこにもないはずのこの2人は、気持ちひとつでつがいになったのです。異種間恋愛かつ育児BLかつ光源氏的側面もあるという3度おいしい展開が楽しめる本作。

最後はしっかりハッピーエンドでほっこりした気分で読了できます。癒し系のファンタジー好きさんはぜひ手に取っていただきたい作品です。

この記事を書いた人

アキミ

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