2019.03.12
【マンガレビュー】『群れなせ! シートン学園』山下文吾【ケモミミ少女たちの可愛さ溢れるアニマルラブコメ!】
『群れなせ! シートン学園』
1996年当時、インターネットは一般的ではありませんでした。パソコン通信という、文字で情報をやりとりする交流の場に初めて参加した頃。デビューしたての物珍しさから、有志の描いたCGを片っ端から集めていて気づいたことがあります(長時間、回線を占領するのはマナー違反なので、テレホーダイの深夜4時頃に繋いでいた)。
ケモミミ少女の絵、めちゃくちゃ多いな!
特殊な草の根BBSにいたわけじゃないので(たぶん)、当時の「萌え」のスタンダードなのか、ムーブメントだったのか。筆者の中で「.MAG=ケモっ娘」のイメージがいまだにこびりついてます。(注:「.MAG」はMS-DOS時代の日本のパソコン通信での画像ファイルフォーマットのひとつ)
そんなわけで今日紹介するのは『群れなせ!シートン学園』。
擬人化された様々な動物たちが集う「シートン学園」に通う、動物嫌いのジン(人間、男性)。同じクラスの美少女・瞳ちゃん(人間、女性)と仲良くしたい。にもかかわらず、狼少女ランカを筆頭に、コアラのユカリ、ナマケモノのミユビなど、個性豊かな動物少女達と群れなす学園生活を送るのであった───。
ランカ(狼)が手を舐める時はストレスを感じているとか、ネコの「ゴロゴロ」には哺乳類の養育本能を呼び起こす高周波の「要求のゴロゴロ」があるとか。そういった動物の習性を利用したコメディの料理の仕方がめちゃくちゃ上手い。
「ランカが親愛のしるしに相手の口をペロペロ舐める → 他種族が割とドン引き」みたいなギャグに昇華しています。ナマケモノのミユビが体力なくて、すぐに力尽きて死んじゃう芸風も、鉄板で笑えるんですよ。
こういった動物トリビアが満載。「ベルクマンの法則(寒冷地に住む動物ほど、体温を維持するために身体が大きくなる)」といった本気の動物学もさらっと披露。本家の「シー○ン動物記」のように、動物の雑学が増えていく内容。作者・山下文吾先生の広範な動物知識と、アニマル愛が伝わってきます。
パソコン通信の頃から、なんでケモミミ少女は可愛いんだろうって考察したことがあります。思うに、「動物の本能的愛くるしさ」x「美少女の可愛らしさ」の掛け算が魅力に繋がっているんじゃないかと結論づけました。
『群れなせ! シートン学園』には、その溢れんばかりの魅力が詰まっています。今、来ているアニマルラブコメはこれ!
©山下文吾/講談社