2019.02.27

【インタビュー】『ぼっち・ざ・ろっく!』はまじあき「きららの女子高生だって、学校以外に居場所があっていい」

陰キャならロックをやれ!!!

ガールズバンドのマンガと聞いて、どんな作品を思い浮かべますか?

『けいおん!』のような、ゆるふわな雰囲気の日常もの?

コミック版『BanG Dream! バンドリ』のような、キラキラとドキドキが詰まった青春ストーリー?

それらのどれとも違う、まったく新しいガールズバンドマンガがあります。はまじあき先生の『ぼっち・ざ・ろっく!』です。


衝撃の第1話

あらすじ:きららMAXの大人気バンド4コマ、待望の第1巻がついに登場!「ぼっちちゃん」こと後藤ひとりは、ギターを愛する孤独な少女。家で一人寂しく弾くだけの毎日でしたが、ひょんなことから伊地知虹夏が率いる「結束バンド」に加入することに。人前での演奏に不慣れな後藤は、立派なバンドマンになれるのか──!?全国のぼっちな少年少女に届ける、いま最高にアツい音楽漫画!!陰キャならロックをやれ!!!

「ぼっち×女子高生×ロックバンド」という異色の組み合わせが話題を呼んでいる本作。単行本1巻の発売を記念して、作者のはまじあき先生にインタビューを申し込みました。陰キャならこのマンガを読め!!!(※記事の最後に、サイン色紙プレゼントのお知らせがあります。こちらもお見逃しなく!)

はまじあき先生

(取材・文:ましろ/編集:八木光平)

『けいおん!』とは別のバンド4コマを作りたかった

──『ぼっち・ざ・ろっく!』単行本の表紙、めちゃくちゃスタイリッシュでカッコいいですね! いい意味で「きらら」の作品らしくないというか。

はまじあき先生(以下、はまじ):ありがとうございます! 私もすごく気に入ってます。担当さんは別のデザイン案を推していたんですが、私とデザイナーの内古閑智之さんの2対1で押し切りました。


黒と黄色の配色が印象的な1巻の表紙デザイン

もともと内古閑さんの手がけるデザインが大好きだったので、単行本の表紙は絶対この方にお願いしようと思っていました。そうしたら内古閑さんも昔、『ぼっち・ざ・ろっく!』の舞台である下北沢に住んでいて、音楽レーベルを主宰していたこともあったみたいで、不思議な縁を感じています。

──最新号(2019年4月号)のきららMAXでは、表紙と巻頭カラーも担当されています。きらら系列の雑誌で、アニメ化されていない作品が表紙を飾るのは珍しい気がします。

2019年4月号のきららMAX

担当編集:きららMAXだと、アニメ化作品以外で単行本1巻発売時の表紙は『カレーの王女さま』(2012年8月号)以来ですね。これからプッシュしていきたい作品が表紙になる機会は今後もあると思います。

担当編集の瀬古口さん

──前作『きらりブックス迷走中!』は、萌え4コマが好きなお嬢様が主人公のギャグマンガでした。今作でバンドものを描こうと思ったきっかけは何だったのでしょうか。

はまじ:きっかけというか、私の趣味がマンガ以外だとバンドくらいしかないんです。だから、次に描くとしたらバンドものかなと。

とはいえ、聴く専門で楽器を弾いたことはなかったので、どうしようかと迷いながら好きなバンドのライブ映像を観ているうちに、やっぱりこれしかないと思うようになりました。そこから自分でもベースやドラムを練習するようになって、今に至る感じです。

──失礼ながら、「きらら」で「バンドもの」というと、まず”あの作品”が思い浮かぶのですが……。その作品、『けいおん!』のことは意識されていますか?

はまじ:まったく意識してない、と言ったら嘘になりますね。『ぼっち・ざ・ろっく!』を描くと決まったときに、もうすぐ『けいおん!』が再開するという話は担当さん経由で聞いていましたし。

キャラクターを一新して連載再開した『けいおん!Shuffle』

なので、もちろんライバルというわけではありませんが、だからこそ絶対に『けいおん!』と被らないようにしようとは考えていました。あちらは学校の部活でバンドをする話だから、こっちはライブハウスでやらせようといった具合に。

──法律上は「飲食店」だったり、演奏するバンドに集客のノルマがあったり、ライブハウスの内情に関する話も知ることができて面白いです。

はまじ:そのへんは、本で調べたり、バンドをやっている知人に聞いた内容を基にしています。ライブハウスの写真を撮るために、「下北沢SHELTER」という有名な場所にも取材に行きました。

バンドマンは、売れるまで滅茶苦茶お金がかかる

──バンドものを描く上で意識されていることはありますか?

はまじきららマンガらしさと、バンドマンガらしさの両立でしょうか。きららの読者さんは音楽の専門的な話をしてもつまらないだろうし、けれどまったく描かないと楽器をやっている方は楽しめないだろうし。そのあたりのバランスですね。

あとは、演奏シーンに歌詞や擬音を描かないということも意識しています。下手に文字を入れると、イメージを制限してしまう気がしたので。どんな曲を弾いているのかは、読者のみなさんに想像してほしいなと思っています。

担当編集:ぶっちゃけ、『BECK』を参考にしたって言ってましたよね。

はまじ今いい感じにかっこよくまとまってたのに!(笑)

きららの女子高生だって、学校以外に居場所があっていい

──主人公の後藤ひとり。私はあだ名の「ぼっちちゃん」と呼んでいますが、はまじ先生は何と呼ばれていますか?

はまじ:私と担当さんは、「後藤」と苗字で呼んでいます。初期設定では普通のかわいい女の子だったんですが、担当さんに「もっとガチにしたほうがいい」と言われて修正していったら、こんなキャラに。

ぼっちちゃん(ビフォー)

ぼっちちゃん(アフター)

担当編集:『けいおん!』との差別化という観点でも、最初のはちょっとパンチが足りない気がしたんです。実際、今のキャラでネームを切ってもらったらすごく面白かったので、これならいけるという手応えを感じました。

──明るくて前向きなぼっちちゃん……。今となっては想像できません。

はまじ:キャラクターが変わればストーリーも変わりますし、あのままのキャラで描いていたら全然違う作品になっていたと思います。

──はまじ先生が特に好きなキャラは誰ですか?

はまじ:ビジュアル的には山田が一番好きなんですが、読者人気は圧倒的に後藤に集中してるんですよね。黒髪ヒロインは人気が出る法則があるはずなのに……。あまり喋らないからでしょうか。

ベース担当の山田リョウ。変人と言われると喜ぶ変人

1巻は後藤メインの話が多かったので、2巻以降は他のキャラにも焦点を当てて、後藤以外の子も好きになってもらえるようがんばります。特に山田を!

──ぼっちちゃんたちの苗字(後藤、伊地知、山田、喜多)は「ASIAN KUNG-FU GENERATION」のメンバーに由来しているそうですが、キャラクターの性格もアジカンの方々にあわせているのでしょうか。

はまじ:いえ、性格はどちらかといえば、「バンド」というものから連想されるイメージに寄せました。ドラム担当は明るくて、ベース担当は暗くて超然としているみたいな。

「結束バンド」のムードメーカー、ドラム担当の伊地知虹夏

だけど、好きな食べ物や音楽の趣味が奇跡的に一緒だったことは何度かありました。うちの山田がカレーを食べていたら山田(貴洋)さんの好物もカレーだったとか、伊地知(潔)さんもメロコアをよく聴いていたとか。やっぱり、楽器のイメージと性格って一致するのかもしれませんね。

──各話の扉絵は実際にあるMVのオマージュですが、それぞれどんな基準で選んでいますか?

はまじ:単にそのときハマっている曲のMVにすることもあれば、話の内容にマッチしたものを探してくることもあります。

例えば、5話は学校で後藤と喜多が出会う話なので、フレデリック『オドループ』。まあ、扉絵に使ったシーンは数秒しか映ってないんですが。

5話の扉絵

13話は、単行本1巻のラストに収録される話で青春感があるので、フジファブリック『若者のすべて』。これはMVではなく、曲そのもののイメージから連想しました。

13話の扉絵

──1巻の中で、はまじ先生お気に入りのシーンを教えてください。

はまじ:13話のラストは、個人的にうまく描けたと思っています。タイトル回収というのを一度やってみたくて。ただ、きれいにまとめすぎて、読者さんに「打ち切り?」と心配されてしまいました(笑)。

──確かに、「ご愛読ありがとうございました」と書かれていてもおかしくなさそう……。

担当編集:なので、これからも続きますよと柱コメントでフォローしています。

もうちょっとだけ続くんじゃ。

──反対に、読者からの反響が大きかったシーンは?

はまじ12話のライブシーンは、多くの方によかったと言っていただきました。4コマ形式じゃないという部分も含めて、私としても印象に残っています。


ぼっちちゃんが”ギターヒーロー”になった瞬間

担当編集:きららは4コマ専門誌なので、4コマとストーリーマンガのコマ割りを混ぜたような作品は基本的に載せないんですが、このシーンは特別ですね。急に普通のコマ割りにすることで、溜めからの解放を明確に狙っているので。

──このシーンが特に顕著ですが、『ぼっち・ざ・ろっく!』のテーマは、ぼっちちゃんの成長ということになるのでしょうか。

はまじ:それもありますし、一歩前に踏み出すというテーマもある気がします。高校時代にバンドをしていた友達に話を聞いたとき、「学校はつまらなかったけど、放課後のライブハウスでのバンド活動は楽しかった」と言っていたのがすごく印象に残っていて。

きららって、学校で過ごす時間の楽しさを描いている作品が多いけど、学校以外に居場所があってもいいと思うんです。ライブハウスという、知らない場所に勇気を出して入っていった後藤の姿が、誰かの心に刺さったら嬉しいですね。

萌えマンガが描きたくて、「ちゃお」から「きらら」に

──はまじ先生自身についてもお聞かせください。きららMAXで連載を始める前は「ちゃお」で描かれていたそうですが、どんなマンガを描いていたのでしょうか。

はまじ:ちゃお時代は「はやみ知晶」というペンネームで、主にストーリーマンガを描いていました。投稿デビュー作の『スワン★コンプレックス』は、実は今も小学館のサイトに載ってたりします。

担当編集:へー……(早速スマホで検索する担当氏)。

はまじ今は読まないでください!(笑)

──ちゃおに投稿されたということは、少女マンガ家になりたかったんですか?

はまじ:確かに最初はそうだったんですけど、何回か投稿を続けているうちに、少女マンガより萌え系マンガを描きたいと思うようになっていったんです。だから、せっかくデビューできたものの、気持ち的にあまり続かなくて。

──きららに移籍されたのも、萌えマンガが描きたかったから?

はまじ:そうですね。「萌え」といえば「きらら」だろうということで、自分から持ち込みに行きました。そのときの作品は、オセロが題材の部活4コマだったかと。

──はまじ先生の持ち込み原稿を読んで、担当さんはどう感じましたか?

担当編集:絵はすごくお上手で、ギャグもよく練られていましたし、この方には絶対うちで描いてもらおうと思いました。

ただ、「オセロかあ……」とも思ったので(笑)、雑誌の掲載用にいくつか案を出していただきました。その中の「お嬢様もの」と「書店員もの」を組み合わせて、『きらりブックス迷走中!』が生まれたという流れです。

──4コマを描く上で意識していることがあれば教えてください。

はまじ:オチをつけるのはもちろんですが、4コマ目以外にも笑いどころ、ツッコミどころをなるべく描くようにしています。「きらりブックス」のときに担当さんに褒めていただいて、それ以来意識していますね。

全コマオチに使えそうなキレッキレのギャグ

担当編集:はまじ先生のマンガは、何気ないコマにも小ネタが散りばめられていて、僕は本当に大好きなんですよ。やっぱり、4コマは笑えてなんぼだと思いますし。

妹は、『キスアンドクライ』の日笠希望先生

──はまじ先生がマンガ家になろうと思ったきっかけは何だったのでしょうか。

はまじ:地元が宮崎の田舎で遊ぶ場所もなかったので、絵を描くくらいしかすることがなかったんです。妹も絵を描くのが好きで、小学生のころから一緒にやっていたら、いつのまにかマンガ家を目指していた感じです。

──妹さんは、確か『キスアンドクライ』の日笠希望先生ですよね。

はまじ:はい、そうです。私は普通の高校でしたが、妹は美術系の高校に通っていたので、描き方を教えてもらったりもしました。

コミスペ!編集:うちの編集部でも以前『キスアンドクライ』が話題になり、レビューも書かせていただきました。

【日替わりレビュー:日曜日】『キスアンドクライ』日笠希望

はまじ:本当ですか? 嬉しい、妹に言っておきます!

──姉妹でマンガ家になるのはすごく珍しいと思いますが、妹さんとマンガの話はよくされるんですか?

はまじお互いの創作活動に干渉しないルールを作っているので、最近はほとんどしないですね。そもそも、お互いのマンガを読んでいません。

──それは、読むと作風に影響が出てしまうから?

はまじ:というより、お互いのマンガにあまり興味がない……(笑)。私は4コマで、妹は少年マンガで、ジャンルも全然違いますし。もちろん仲はいいですよ。好きなマンガの話はよくしますから。

──子どものころ読んでいたマンガを教えてください。

はまじ荒川弘先生の『鋼の錬金術師』は子どものころに妹と一緒にハマって、今でも一番好きなマンガです。アジカンを好きになったのも、アニメの主題歌だった『リライト』を聴いたからですし。

絵柄や作風では、「なかよし」作家のPEACH-PIT先生や遠山えま先生の影響を受けていると思います。遠山先生は芳文社さんでもお仕事をされていたので、きららに来れば同じ雑誌に載れるかなと期待していたんですが……、別の雑誌でしたね。

──最近おすすめのマンガは?

はまじ:来月コミックスが発売される、うちのまいこ先生の『スローループ』が今はお気に入りです。あたたかくて、やさしい世界観がすごく心地いいんです。

ただ、最近はマンガよりも映画を観ることが増えてきました。今までマンガばかり読んでいたので、他のところからもインプットしたほうがいいのかなと思うようになってきて。『戦場のピアニスト』など、戦争ものをよく観ます。

──他に趣味はありますか?

はまじ:妹と喋るくらいで、他には全然……。くだらない話とか、ジョジョごっことかをしてストレス発散しています。

はまじ先生と日笠先生の心温まるやりとり

──最後に、読者の皆さんへのメッセージをお願いいたします。

はまじ:『ぼっち・ざ・ろっく!』は、きらら読者の方が楽しめるような話にしつつも、普段あまりマンガを読まない方にも楽しんでもらえるように意識して描いています。

実際に、バンド活動をしている方や、音楽関係者の方から感想をいただいたことが何度もありました。単行本が出ることで、より多くの人にこのマンガを読んでもらえたら嬉しいです。

──担当さんからも、告知事項などがあればぜひ。

担当編集LINEスタンプを作りたいですねという話はしているんですが、はまじ先生も今お忙しいので……。正式に販売できることになった場合は、あらためて告知させていただきます。

──「イキってすみません」のスタンプが使える日を楽しみにしています。本日はありがとうございました!

イキったことを言ってしまったときに使おう

作品情報

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今回のインタビューの実施を記念して、はまじあき先生の直筆サイン入り色紙3名様にプレゼントいたします!

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プレゼントキャンペーン応募要項

【賞品】
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2019年2月27日(水)~2018年3月13日(水)23:59まで

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