2019.09.16
包容力抜群のイケオジ × トラウマ持ちのマスク美人『薫-くゆる-』ミギノヤギ【おすすめ漫画】
『薫-くゆる-』
とても色気と雰囲気のある素敵な表紙です。色数は抑えめなのですが、受の流し目に吸い寄せられるようにジャケ買いしました。ミギノヤギ先生のデビューコミックスになります。
BLですが、設定といい雰囲気といいタイトルといい、どことなく「JUNE」を思わせる作品です。カップリングは、「包容力抜群のイケオジ × トラウマ持ちのマスク美人」です。
表紙で言うと上が攻で、下が受になります。(オビの掛け算表記、右から左に読ませてるので順番が!!逆です!!! 数学じゃないんですから掛け算の順番は大事です。左から読ませたいなら横書きにしなきゃ!!!)
受のトラウマというのがなかなかひどくて、元彼に裏切られてマワされてしまい、それが原因で男の匂いが決定的にダメになってしまったというものです。
まったく恋愛要素のない職場の部長相手でも嘔吐に至るレベルで過敏になってしまっており、日常生活に支障をきたしまくっています。裸でベッドでお楽しみ中ですらマスクを外せないので、相手を萎えさせてしまうこともしょっちゅうです。
逆にマスクしてれば耐えられるの!? 高性能マスク……となりますが、精神的な傷なので、マスクで防御しているから大丈夫と本人が思い込んでいることで持ちこたえているだけな気もします。見た感じ、本当にただのマスクですし。
男の匂いはダメでも男とベッドで運動会するのは大好きな七々瀬は、夜のフラストレーションが溜まる一方です。
そんな状況で、かなり適当にナンパして引っかけたのが、元彼に似た匂いを持つ男・桂でした。自分から誘ったというのに、最中にマスクをとられかけ、即嘔吐からの顔面パンチで逃亡をキメてしまいます。
そしてお約束通り、後日、偶然の再会を果たして、トラウマ克服のために身体の関係を続けないかというお誘いを受けます。
そこからはお互い、ずぶずぶと相手に沈んでいく感じで好きになっていき、攻の匂い限定ならOK(他の男はダメ)という感じでトラウマが緩和されていきます。
どんなに拒絶しても追いかけてくる攻というのは、いつでも腐女子心をときめかせてくれるものですね。例にもれず、読みながらキュンキュンしておりました。
トラウマの原因になった元彼も、根っからのクズというわけではなくて彼なりの事情もあっての暴挙だったということが判明し、分かりやすい悪役はいなかった方向にまとまりました。めでたい話なんですが、元彼はもうちょっと頭を使って自分の恋人を守れたらよかったのにねと残念な気持ちにはなりましたね……。
フィクションだからこそどっぷり萌えられるストーリーで、シリアスBL好きには大変おいしい作品でした。
©ミギノヤギ/竹書房