2019.12.27
「ぼっち女子 × 人気者イケメン」が繰り広げるジェットコースターラブコメ!『きみと青い春のはじまり』アサダニッキ【おすすめ漫画】
きみと青い春のはじまり
アサダニッキ先生の新作『きみと青い春のはじまり』の第1巻が発売されました。
ぼっち女子×人気者イケメンという不釣り合いな二人のジェットコースターラブコメでございます。
物語の主人公は、入学式以来、誰とも話さず静かに過ごしてきたぼっち女子・末広しろ。ある日、クラスいちの人気者である男子・高砂から、罰ゲームで告白されると、しろは「罰ゲームですよね!?」と初めて授業以外で初めて声を出して応戦。
引っ込みがつかなくなった高砂は、「罰ゲームではない。」と言い切り、以降、しろの後をついてきては「付き合おう」と言ってきます。すぐに飽きると思っていたものの、高砂は意外と真剣に向き合ってくれていて……というストーリー。
変わり者のネクラヒロイン
主人公の末広しろは、入学以来、授業以外では一切声を発さずにずっと本を読んでいるという、陰キャぼっち女子。しかも同じ本を繰り返し読み返しているという、ちょっと、いや、結構な変わり者。
周囲とのコミュニケーションを頑なに断ってきた彼女ですが、やや強引な高砂とかかわりを持つことをきっかけに、少しずつ変化を見せ始めていきます。
承認力の塊みたいなヒーロー
相手役となる高砂はしろとは対照的で、その端正なルックスと明るい性格から、カースト上位のグループの中心的な人物。勉強ができるかは不明ですが、友達の言葉を鵜呑みにして、悪気無く罰ゲームで告白してしまうあたりからも分かる通り、なんとなくアホっぽいです。そして行動力がすごい。
性格は極めて素直で、クラスで浮いている変わり者のヒロインを相手にしても、フラットに接して、周囲に惑わされない真っ直ぐさを持ち合わせています。
しろへのアプローチは結構強引なんですけれども、全然いやな感じがしないのが不思議なところ。それは「イケメンだから」では決してないです。根底にあるのは、しろのことを放っておけないという、ある種の面倒見の良さと、それでありながら決して彼女を下に見ていないで、対等に捉えていることが伝わってくるからなんですよね。
しろが何かチャレンジすればそれを認めてくれるし、力になろうとしてくれる。承認力がとにかく高いんです。
コメディよりはラブ寄り
カースト下位の女子が、上位の男子から惚れこまれてアプローチを受けるというのは『王子が私をあきらめない』と同じ構図とも言えますが、あちらが身分格差のギャップを極限まで協調してコメディに落とし込んでいるのに対し、こちらはその濃淡を逆に薄め、コメディよりはラブに比重が置かれた、少女漫画らしいストーリーに仕上がっています。
キャラクターも、起きる出来事も、実にコメディめいているのですが、それらが組み合わさると何故かコメディではなくトキメキ側に振れるという不思議。そしてそれこそがアサダニッキ先生の魅力であり、真骨頂なのだと、声を大にして言いたい。
今後の波乱を予感させるちょっとした伏線も張られており、ストーリー的な広がりにも期待が持てます。
これはひょっとすると、『青春しょんぼりクラブ』や『星上くんはどうかしている』を超えてきちゃうこともあるかも。2020年、要注目の一作が登場しました。
©アサダニッキ/講談社