2020.03.10
腹黒爽やか御曹司×妹を養う毒親持ちの貧乏青年の、サイコパス系監禁ホラーBL!『荊の中の花』カモ【おすすめ漫画】
『荊の中の花』
表紙のイメージ通り、ちょっとヤバい感じのBLです。なんというか、ちょっとしたサイコパス系ホラーといいますか……。スーパーお金持ちの攻様が、すさまじい執着心と周到さで中学時代から好きだった同級生を手に入れるお話です。
カップリングは、「腹黒爽やか御曹司×妹を養う毒親持ちの貧乏青年」といったところでしょうか。
お話は2人が社会人の地点から始まります。妹を養うために仕事に明け暮れるあさぎの前に現れた、財閥の御曹司・要。
偶然の再会──とすらあさぎは思いません。
見知らぬ金持ちがちょっと親近感を持って名刺をくれただけで、実際に連絡を取ったりはしないと軽く考えています。しかし、あさぎの父親が妹の体を男に売ろうとしているところを発見して家を飛び出してきたところを、これまた偶然その場に居合わせた要に妹ごと保護されます。
妹は医療機関へ、そしてあさぎは要のマンションへ。
まさに飛んで火にいる夏の虫といいますか、蟻地獄に誘い込まれたといいますか。あれよあれよという間に妹の治療費や今後の生活補助を報酬として提示され「僕と契約しませんか?」とやられます。
その契約内容がやばいです。要のマンションから出ない、要の許可なくほかの人と連絡を取ったり会ってはいけないですから、冷静に考えたら完全にアカン契約です。しかしあさぎは乗ってしまいます。
契約生活が始まっても、あさぎは特に不自由を感じません。ただ、唯一の親友にも連絡を取らせてもらえないことが少し引っかかる程度です。妹にも頻繁に合わせてもらえて、広い家でのんびりするだけです。
そんな生活の中で、あさぎは要が、実は昔の同級生だったことを知ります。ほかの同級生には隠していた家の事情まで話した親友……なのに、そのことをクラスメイトにばらされて決裂した相手が要でした。昔とは姓が変わっていたので気づかなかったのです。
要はずっとあさぎが好きで、虎視眈々と元の関係──いや、それ以上になることを狙っていました。
財閥の後継者となったとき、与えられた側近に要が真っ先に命じたのが昔の同級生を探すことですから、ヤバさがお分かりいただけるのではないでしょうか。というか坊ちゃん、ちゃんと仕事しようよ……ってちょっと思ってしまいました。
転校して以降、軽く10年以上は会ってもいなかった相手に同じ熱量の気持ちを持ち続けて、見つけた後は用意周到に出会って囲い込んで、そのことを相手に悟らせずに手の内に閉じ込めます。
そしてあさぎのもうひとりの親友で、中学生だった時に要をハメてあさぎから遠ざけられる原因になった男にもちゃっかりえげつない意趣返しをして追い払い、思い続けた男を「自分だけのあさぎ」にしてしまいます。
1巻で完結していると思われるこの作品ですが、内面真っ黒な要にあさぎは全く気付かないまま、運よくお金持ちになった同級生に保護されて恋仲になって妹の面倒まで見てもらっていると恩まで感じています。
この関係、要が墓に行くまで続くのかと思うもうと、立派なサイコパスホラーだなと思った次第です。
肌色シーンはあっさり目ですがしっかりありますし、BLとしても楽しめるのですが、このお話のメインジャンルって、サイコパスな執着愛による監禁ホラーなんじゃないかという疑いが拭いきれません……。
黒い攻と、攻の黒さにまったく気づいていない受の対比がホラーレベルなので、ぜひ読んでみてくださいね……。
©カモ/KADOKAWA