2020.04.17
手堅く働く、20代崖っぷちアラサー女子達による恋愛・婚活奮闘記!『ピーナッツバターサンドウィッチ』ミツコ【おすすめ漫画】
『ピーナッツバターサンドウィッチ』
4月からドラマスタート
ミツコ先生の『ピーナッツバターサンドウィッチ』の第2巻が発売されました。
元々は女性向け雑誌『with』のオンラインサイト上で連載されて人気を博し、すでに電子版では5巻まで刊行されているなど、知っている人は知っている本作。4月からは「ドラマ特区」枠で連続ドラマもスタートしており、満を持しての紙媒体発売(しかも毎月発売するっぽい)といったところでしょうか。
ところでこのタイトルだけだと、内容が全く想像つかないと思うんですけれど、実は電子版ではサブタイトルが付いており、それが非常に分かりやすくなっています。
29歳、働く女子4人の恋愛奮闘記!
そう、20代崖っぷちアラサー女子達による恋愛……というか、婚活奮闘記です。
手堅く働く29歳社会人女子たちの婚活劇
メイン4人はそれぞれこんなバックグラウンドや性格の持ち主でございます……
努力すればなんでも手に入ると思っている、バリキャリOL沙代。
誰もが振り向く美貌の高嶺の花なのに、どこか陰のある秘書、茜。
求められるとすぐ体を許してしまう、自己評価の低い信金OL美和。
長すぎる交際に、結婚への希望も薄まっていく看護師、美晴。
そう、職業はそれぞれバラバラで、彼氏がいたり、セフレ体質だったり、不倫していたりと、恋愛の状況もそれぞれ異なっています。そんな彼女たちの共通点は、幸せの定義を結婚に置いているところ。
社会人になって何度かの結婚ラッシュを経て、いよいよ30歳を目前にして、本格的に婚活に挑むというストーリーとなっています。
29歳という年齢
この29歳という年齢設定も絶妙で、まだ20代ではあるので、30代のように「なりふり構っていられんわ」と、結婚というゴールに全精力かけて一直線で進んでいくような感じまでは行かないんですよね。
仕事も手堅い職業で、それなりにキャリアも積んでいるので、結婚に懸けなくても、生きてはいけるという状況。恋愛にもライフスタイルにも仕事にもこだわりはあるし、相手に求めるハードルは下げつつも「自分はまだいける」と心では思っているし、何なら白馬の王子様みたいな人と出逢うことだって、可能性としてはあるんじゃないかと思っていたりする。
でも実際は、出会いやときめきが無いわけじゃないけれど、目の前に広がるリアルすぎる現実、理想とのギャップの前に、落ち込み焦るわけです。そういったみじめさを例えば30代後半とかでやられたらホラーになりかねないんですけれど、29歳だからまだコメディになるんですよね。
やっぱりマッチングアプリの話が面白い
社会人の出会いって、大体5パターンぐらいに分けられると個人的には思っていまして、「学生時代からの知り合い」「友達の紹介」「合コン」「同僚」「婚活サイトやマッチングアプリ、結婚相談所」みたいな。
で、30歳にもなると、学生時代からの知り合いとか、友達の紹介とかいう脈は枯渇して、否が応でも合コンだったり、マッチングアプリや婚活サイトの比重が高まっていくイメージがあります。
本作でもやはりメインとなるのは合コンだったり、マッチングアプリだったり、数少ない売れ残りの同僚だったりするわけですが、やっぱりマッチングアプリの話が面白いですね。
こう、システムの話もそうなのですが、まずサイト選びから行って、そのあとに相手をどう選別するか、逆に自分がどう選ばれるかをテクニカルに解説してくれるので、勉強になります(なんの?)。恋愛っていうよりも、就活に近いイメージで、この戦略性だとか制約下での工夫みたいなところがやっぱり面白いなぁ、と。
ピーナッツバターサンドウィッチとは
さて、またしてもタイトルの話に戻るんですが、この「ピーナッツバターサンドウィッチ」って何かっていうと、婚活女子に焦点を当てて研究をする政府機関の、とあるチームの名前。メイン4人を観察してはいるのですが、4人の人生には一切絡んでこずに、ただただ第三者的視点から分析をします。
最初「なんだこれ意味あるのか」とか思っていたのですが、ちゃんとあるんですよこれが。
本作を読み進めていると、メインキャラたちが恋愛や婚活における様々なターニングポイントを迎えるわけですが、そこで彼らが登場し、連載している『with』の読者たちから集められたであろう、恋愛や婚活における様々なリサーチデータが還元されるわけです。
もちろん傍観者として、第三者的に突っ込みをを入れることもあるのですが、むしろメインはそっち。
婚活漫画の面白さって、実体験から来る生々しさというか、ルポタージュゆえに読み応えがあるという側面が少なからずあると思うのですが、フィクションである本作では、その要素をここで補っていて、結果的にルポ漫画にも負けていないリアリティや生々しさが描かれています。
例えば浮気したことあるかって話で、結構な人が「ある」って答えていたんですが、「パートナーにばれないようにするには、LINEとかメジャーなアプリじゃなくて、気づかないようなマイナーなメッセンジャーアプリを使うとイイよ」みたいな話とかめちゃめちゃ参考になるな、と(なんの?)。
くだらないものから真面目なものまで、実際に挙げられた声ってのはやっぱり力を持っているのだなと実感させられます。
コロナの影響は婚活にまで波及していそうではありますが、来る解禁日に備えて、本作で色々予習復習してみてはいかがでしょうか。婚活を経ずに結婚されたかたも、すでに婚活を卒業された方も、きっと本作を通して色々な景色が見えてくるはずです。ドラマでも電子書籍でも紙でも、気になったものから手を伸ばしてみてはいかがでしょうか。
©ミツコ/講談社