2020.04.20
幼馴染同士の、学園ものトライアングルラブ!『リセット』いちかわ壱【おすすめ漫画】
『リセット』
幼馴染同士の学園ものトライアングルラブです。要素てんこ盛りですが、爽やかで切ない友情も混じった、ザ・青春みたいな雰囲気が眩しい素敵な作品となっております。
2歳年上の幼馴染・蒼を好きになった冬馬は、恋人に捨てられて傷心の蒼に付け込んで、恋愛関係になります。そんなスタートの恋だったので、自分は蒼に次の恋人ができるまでの「繋ぎ」に過ぎないと思い込んでしまいます。
依存心が強くて恋人を束縛したがる蒼ですが、冬馬はその束縛すら、寂しさの穴埋めでいつか蒼に本命ができれば捨てられてしまうんじゃないかと怯えるのです。
一方の蒼は、誰にでも好かれる人たらしで、昔から恋人には事欠かなかったという男の敵みたいなパーソナリティの持ち主。しかし告白されて付き合っても、その先を考えると頭の片隅に幼馴染の冬馬がちらついて恋愛に集中できず、いつもすぐ振られてしまっては冬馬に泣きついて慰められていました。
そして、泣きついたタイミングで冬馬が自分の傷心に「付け込んでくれた」ところに飛びつく形で恋人になりました。
お互い、最初から本気で相手のことが好きなのに、冬馬は自分の片思いなんだと思い込んでいて、冬馬がそう思ってしまっていることを蒼も気づいています。
そんな微妙に気持ちが通い合わない二人をうまくまとめようと頑張り始めたのが、冬馬の同級生で友人の槙です。いい子なんですよね。冬馬のためにあれこれ考えて、アドバイスしたり協力したり。男同士の恋愛に対して忌避感もなく、何とかうまくいくように動いてくれます。
……動いているうちに、槙がちょっと冬馬に傾いていくんですよね……。ミイラ取りがミイラになるみたいな微妙な感じです。
このいびつな恋愛感情が絡んだ状態がどうなるのかとそわそわ読んでいたら、槙に励まされた冬馬が物語のラストで全部ぶった切ってくれました。なんとハッピーエンドがメインストリームなBLだというのに、コミックスの最後の最後で別れ話です。
お互いに好きだ、好きだった、という状況で、どこかゆがんでいた関係が「リセット」されてしまいます。
この3人が、これからまた新たな関係性を構築していくんだろうなという前向きな雰囲気を漂わせてはいるものの、ラストで破局という、先が気になりすぎる終わり方です。
うそでしょ……買ったとき巻数表記もなかったよ!? と頭を抱えて絶望していたら、裏表紙側の帯に「シリーズ続編決定」って書いてありました。ものすごい下げてから上げられた気分です。
個人的には冬馬、槙とくっついたほうが健全に幸せになれると思うんですが、作品的な本命は蒼だと思われるので、この先の展開をドキドキしながら待とうと思います。まだ未成熟な彼らのこの先の恋愛模様から目が離せません。青春BL、素敵ですよ~!
©いちかわ壱/徳間書店