2020.05.05
客に肌を許さない「童貞花魁」が操を立てた相手と思いを遂げることができるのか──『美少年戯譚』かぐらひより【おすすめ漫画】
『美少年戯譚』
一夜の夢を売る遊郭で唯一、男の花魁を置く店「月がくれ」。そこに所属する光桜は、客と床入りをしない“童貞花魁”として有名でした。
月がくれの客の9割は女、残りは男です。
誰にも肌を許さない光桜は、その美しさも相まって高嶺の花として扱われることが多いようです。体を売ってなんぼの業界に身を置きながら、それを拒むことを許されている時点でファンタジーな気もしますが、閨房術以外の所作や見た目の維持、芸事などの技術を磨くことに余念がありません。実際に、体を売っている花魁に勝るとも劣らない金を店にもたらしているからこそ認められているのです。
なぜ、周りが当たり前にしていることを頑なに拒むのか。それはこの物語の核にもなる部分でもあります。
幼い頃にほのかな恋心を抱いた相手に操を立てているというのがその理由です。それが純粋な恋心なのか、もっと別の感情なのかはまだ明かされていませんが、光桜は、すでにその相手と再会しています。
同じ店で働く仲間として。好いた相手が自分以外の相手と毎晩のように体を重ねているというのはどんな気持ちでしょうか。
光桜は、本人には内緒で店の主と、店に十分貢献した暁にはふたりそろって自由にしてもらうという約束を取り付けています。
この約束、後々に波乱を呼びそうな気配しかなくてドキドキしてしましますね。同僚がいつの間にか自分の分まで稼いで身請けに近い形で遊郭から解放される……ちょっとどころではなくプライドを刺激しそうです。
まだ光桜は幼い頃のつながりを相手には伝えていなくて、仲のいい同僚として接しています。つまり、本命同士の肌色シーンはまだありません。
この先、光桜が無事に守り続けた童貞を想い人に捧げることができるのか、それともバックの処女を捧げることになるのかは1巻目ではまだ未知数です。
ライバルは男女どちらにもいますし、無事に店から自由になれるかもわからない状況ですが、シリーズ物の醍醐味として続きに期待したいと思います。
©かぐらひより/KADOKAWA