2020.06.15
闇オークションから始まる、不愛想な金持ち坊ちゃんと天涯孤独の少年の不器用ラブ『メイド・イン・クライシス』上田にく【おすすめ漫画】
『メイド・イン・クライシス』
いろいろあって借金のカタに闇オークションに出品される羽目になった少年・光が、大金持ちの坊ちゃんに落札されて、そこの不愛想な次男の世話係として住み込むことになります。
これ、15年ほど前にこの設定だった場合、落札後に即、ホテルのスイートルームあたりで攻に美味しく頂かれて、体の関係から始まる恋みたいな流れが鉄板なんですが、時代は令和。
闇オクで落札したにも関わらず優しく帰国させてくれ、落札代金をそのまま借金にされることもなく、そのまま同年代の子供(高校生)の話し相手として家に住まわせて貰えちゃいます。
使用人として女性用メイドの服を支給された以外はこれといって酷い仕打ちにあうこともなく、平和に働きながら「友達になってやってくれ」と頼まれた少年との仲を深めていくのです! 冒頭が闇オークションだったのにこのほのぼの展開。古参の腐女子の皆様には、この展開における、BLジャンルの時代に即した適応能力に一緒に驚いていただけるのではないでしょうか。
とにかく、初っ端の非日常なシチュエーションからは想像できないくらい、ほのぼのした身分差BLで、恋愛のステップを堅実に踏みながら関係を前進させていってくれます。
光にはちょっとした裏事情もあったのですが、そのあたりも特に大ごとにはならずあっという間に丸く収まってしまい、光に恋した次男坊は不器用ながら、兄に与えられた使用人名目の「友達」を口説いていきます。
とにかく、天涯孤独とか闇オークションとかおう類の悲壮な設定のわりに、ほのぼのとしたラブコメなのです。
光が女装させられたりコスプレされられかけたり、相思相愛になったようで微妙にすれ違って、恋人同士だとお互いが認識するまで軽いトラブルがあったりしますが、基本的に安心して読み進めることができるお話です。
肌色シーンはかなり控えめなので、BLをちょっと試しに読んでみようかしら? という方にもお勧めです。
©上田にく/東京漫画社