2020.10.02
ギャルな女子高生×超絶エリート家系のガリ勉メガネ君が織りなす、したくてもできないラブコメディ!『はやくしたいふたり』日下あき【おすすめ漫画】
『はやくしたいふたり』
日下あき先生の初単行本『はやくしたいふたり』の第1巻が発売されました。
開始3ページで付き合います
なにやらいかがわしさを感じさせるタイトルでございますが、初っ端からなかなかスピーディな展開に驚かされます。物語が始まって3ページで2人はお付き合いを始めるという、前段を全部端折っての導入。
ここから一気にキスを……と思いきや、どうもそうできない事情があるようです。
主人公は表紙にも描かれている女子高生・ユーリ。オシャレは好きだけど勉強は苦手、口調はなんだかぶっきらぼうという、絵に描いたようなギャルです。そんな彼女が付き合うことになったのは、ギャルとは縁遠そうなガリ勉メガネ君の葛城慶一郎。
偶然出会い、その素性も知らずに仲良くなり、付き合うことになるのですが、実は彼、祖父・父ともに元内閣総理大臣という超絶エリート家系のお坊ちゃまだったのです!
18になるまで一切のスケベ行為が禁止
代々この国のトップを輩出しつづける名家ゆえに、葛城家にはとても厳しい『しきたり』の数々が。男女交際に関しても例外ではなく、お付き合いはOKですが、18歳になるまでは性的な接触は一切禁止という、なんとも厳しい決まりがありました。
それゆえに、好きな人がすぐ近くにいるのに、エッチはおろかキスもできずに悶々とする日々を、ユーリは送ることになります。
「そんなのバレなきゃいいじゃん」って考えに普通であればなるわけですが、慶一郎自身がなかなか真面目であるのに加えて、こんな血筋ですから常に彼の周囲には護衛が付いて回っており、四六時中監視されている状況。
もちろんSPを出し抜こうと頑張ったりもするのですが、そう簡単にうまくはいかないですよね。
変なところが妙にリアルで面白い
というわけで、これだけ書けばもうお分かりかと思いますが、本作、お色気要素はほぼゼロの、完全なるラブコメディでございます。おあずけを食らいまくる中、変な方向に暴走してしまうなんてのはもちろん、慶一郎のクソ真面目さが笑いを呼び込んだりする展開もあったり、こう設定が設定ゆえにネタも色々ぶっ飛んでます。
ストーリーそのものはなんともバカっぽいのですが、挟み込まれるワードやネタはどこか知的というか、社会人経験ある人が書いてる匂いがするんですよね(稟議だとかマルウェアだとか、契約の「締結」って言い回しだとか)。
だからぶっ飛んだ展開や時に出オチになりかねないネタがぶっ困れても、細かいところの妙なリアルさがあるがゆえに、なんか面白いっていう。
あと普通にヒロインのユーリが純情で良い子ってのもあるかもしれません。すごく応援したくなる魅力的な2人なんですよ。はやくさせてあげたいような、させてあげたくないような、かわいく素敵な2人の登場する一作でございます。
©日下あき/集英社