2020.10.05
元人間の神様の使い×力を失った禍津神という下剋上ラブ。神話が絡んだ和風ファンタジーの人外出産BL!『白鳥の嫁狩り』東野 海【おすすめ漫画】
『白鳥の嫁狩り』
神話が絡んだ、和風ファンタジーの人外ラブです。
表紙からお分かりいただけるかと思いますが、BLで出産ものです。ファンタジーなので基本的には何でもありなんですが、このお話は何でもありをいろいろと突き抜けていて大変楽しいことになっています。
カップリングは「元人間の神様の使い×力を失った禍津神」と、攻受どちらも人外設定です。
攻は人間時代は禍津神を信仰していたのですが、愛しさ余って憎さ100倍がさらに裏返って愛になっちゃったみたいなひねくれ方をしており、あちこち人格的に結構ゆがんでいます。禍津神の受は、忌み嫌われる立場っぽいのですが、びっくりするくらい性格がまともです。
性格設定の黒白、間違えてないのかなって、読みながらちょっと不安になるレベルで設定と性格が合致しておりません。カオスです。
弱った禍津神は、神様の使いである白い鳥の化身たちに狩り殺されるのかと思いきや、そのボスに服を剥かれて羽をもがれて手籠めにされてしまい、さらに子を孕みます。書いていて改めて思いましたが、現代社会の倫理に照らすとあらゆる面で攻が最低です。神様は下僕の躾をもうちょっとちゃんとしておいた方がいいと思います。
無理やりあれこれされてしまった禍津神様はひたすら自分を傷つけた男を心配するし、攻は基本的に自分の欲望のことしか考えていないし、産まれてきた子は可愛くて強そうで禍津神ラブだし、このまま放置したら親子どんぶり3Pになりかねないとハラハラしながら読み進めておりました。
結局、いやよいやよも好きのうちということでしょうか。禍津神も無理やり自分を手籠めにした男を好きになっていて、攻も周りとの軋轢をなんとかねじ伏せて力ずくでハッピーエンドに持っていってくれました。こういうパワープレイ、嫌いじゃないです。
形式上の身分は神様である禍津神が上なんですが、とにかく攻の態度がでかすぎるため、あまり下剋上感がありませんが、設定はしっかり下剋上しています。
シリアスベースのお話なんですが、いろいろとぶっ飛んでいるので深刻になりすぎず、あれよあれよという間にお話が進んでいい感じにまとまっていくので重い話が苦手でもあまり心配はいらないのではないでしょうか。
みんな幸せになってくれてよかったけど、人生2週目の攻は、もうちょっと大人になって周りのことも考えたらいいんじゃないかなと思います。
©東野海/リブレ