2020.10.12
特定の男を作らずワンナイトラブを繰り返す罪な男×美形ナルシスト(同僚)。社会人同士のナイスBL!『そんなに言うなら抱いてやる』にやま【おすすめ漫画】
『そんなに言うなら抱いてやる』
現代もののリーマンラブです。社会人同士の恋ですが、お仕事描写はかなり控えめなので、オフィスラブという感じはあまりしません。
カップリングは、「特定の男を作らずワンナイトラブを繰り返す罪な男×美形ナルシスト」という、見事にどっちもどっちという組み合わせです。
攻の忍は、会社では地味で目立たないダサ眼鏡男子に擬態し、夜はイケイケの男たらしとして夜の街を闊歩するダブルフェイス男。恋人は作らず、その時気に入った相手に手を出しては楽しむという生活をしていましたが、ある時、同僚のナルシスト王子・ヒカルが行きつけのゲイバーに現れてから状況が一変してしまいます。
擬態している相手が目の前に現れたのですから、まずバレないかどうかそわそわしてしまいますし、どうもヒカルの目当ては自分……。心のオアシスに土足で踏み込まれた気分になってしまうのも致し方ありません。
ヒカルは、ナルシズム全開で生きてきており「同性に認められてこそ真にモテる男!」という謎の目標を掲げてしまい、しかも向かった先が同僚に紹介されたゲイバーというナナメっぷり。なぜなのか。なぜ仕事とかそういう方面で認められるのではだめなのか……。
しかもゲイバーでロックオンしたのが、会社で完全に下に見ている眼鏡のダサ男。こいつ、仕事も大してできないだろう? という感想しかないんですがなんで会社女子に大人気なんでしょう。謎!
こんな感じで、一刻も早くナルシストに夜の縄張りから退場してほしい忍と、真のモテ男に進化するために夜のお店でモテモテのイケメンゲイを落としたいヒカルの、何とも言えない駆け引きが始まります。バーにほぼ日参するヒカルと、徹底的にヒカルを避ける努力をする忍。先にしびれを切らしたのは忍の方でした。
いつもより酔っぱらったヒカルに声をかけ、お灸をすえるつもりで「送るよ」とお持ち帰り&軽く半裸でボディコミュニケーションをした後、寝ているヒカルを放置して帰宅します。──使い慣れたライターを彼の家に落として。
その先はもうなし崩しと申しましょうか。
懲りるどころかどんどん接近してくるヒカルに忍も「そんなに言うなら抱いてやる」と、ついに最後まで致すこととなり、最初は自分のモテを証明するために落とすだけだったはずのヒカルも、縄張りに侵入してきた同僚を追い出して終わらせるつもりだった忍も、お互いが相手に落ちてしまいます。
ミイラ取りがミイラになる×2というオチがついた本作。
なんだかんだで2人とも相思相愛になれて幸せそうですし、昼の擬態もバレておさまるところに収まりましたし、笑いとともに爽やかに読了できる素敵なBLになっています。男くさいタチの忍は色っぽくて素敵だし、顔だけは満点のナルシスト王子も素直になったらやけに可愛いし、肌色シーンはいい感じに萌えるし、大変楽しめる1冊でした。
©にやま/竹書房