2018.02.22
【日替わりレビュー:木曜日】『一人交換日記』永田カビ
『一人交換日記』 2巻
人生ハードモード(すぎる)永田カビ先生の赤裸々エッセイ
『さびしすぎてレズ風俗に行きましたレポ』がネット上で大きな話題になり一躍有名となった永田カビ先生。28年間恋愛経験がなく、常に生きづらさを感じ続けてきた結果、行き着いた先はレズ風俗。どんなエロ描写が、と思っていたら、そこに行き着くまでの彼女の葛藤や壮絶な暮らしの方に度肝を抜かれた。
そんな永田カビ先生の次の作品が『一人交換日記』だ。未来の自分に向けて、最近の自分の近況をエッセイ形式で描いていく。
生きづらさを抱える人間にとって、人生とはそうスムーズにはいかないものである。前作でひとつ大きな山を乗り越えていたと思っていた彼女は、その後も親との関係性や湧き上がる孤独感にむせび泣き、それでいて好意をもってくれた人の気持ちには応えず、またその罪悪感で苦しみもがく。
続く2巻でも、正直あまり変わらない。家族からの愛情を実感して回復に向かうと思いきや、酒の飲み過ぎでお漏らしを繰り返し入院、家族に会えない寂しさに自傷行為を行う。作中ではサラッとオーバードースをする姿が描かれていたりと、未だ人生はハイパーハードモードである。
正直、読んでいると、ちょっともどかしい。さすがにそろそろ大人にならないのか、と言いたくなる。言いたくなる、が、そんな自分の姿をみっともないとわかりながら、消耗し続けながら、それでもマンガを描くことを諦めない姿には、いわゆる王道サクセスストーリーとは違った勇気をもらえるのも事実である。
今作では、自分を切り売りすることの辛さも描かれている。そして、だからこそ次のステップはフィクションに挑もうと、そんな気概を最後に感じることができる。
この作品を面白いととるかつまらないととるかは、彼女のファンの中でも分かれるだろう。私は正直、手放しに面白いとは言い切れなかった。しかし、ページをめくる手が止まらなかったのは事実である。心を動かされたのも事実である。そして、次の彼女の作品を待とう、と思ったのも事実である。
単なる作品の面白レベルでいえば、前作や『さびしすぎてレズ風俗に行きましたレポ』の方が高いだろう。しかし、これは、今後どう進んでいくかはわからないが、作者にとってのターニングポイント的な作品として貴重だ。