2021.06.22

こっちもアニメ化してほしい! 『シャドーハウス』作者が描く、明るくてかわいい「おもらし」ラブコメディ!『ギリギリアウト』ソウマトウ【おすすめ漫画】

『ギリギリアウト』

今回ご紹介するのはTVアニメも好評放送中『シャドーハウス』の原作者、ソウマトウ先生の過去作、『ギリギリアウト』。ある秘密を抱えた女の子と、彼女を助けようと奮闘する男の子の、明るくてかわいいラブコメディです。

本作のヒロインは高校一年生の女の子・宮ヶ瀬ハナ。しっかり者で美人で成績優秀、誰からも注目されるハナですが、実はとある“呪い”に掛かっています。それは幼い頃、神社の敷地内でおしっこをしたことで掛かってしまった、緊張すると激しい尿意に襲われる「おもらしの呪い」。

周囲に注目され、衆目に晒されることの多いハナにとって、日常はおもらしの現場を大勢に目撃される危険と隣合わせ。(社会的に)九死に一生なシチュエーションの連続です。第1話では、さっそく新入生代表挨拶をする直前に尿意に襲われ、大ピンチに。

そんなハナにとって“希望の光”と言える存在、それが主人公である徳山ソラ。ハナとはクラスメイトの関係です。ハナいわく、ソラの手には「触れた者の尿意を鎮める能力(ちから)」があると言います(ソラ本人は否定)。

ソラはなるべく目立たずに学校生活を送りたいと思っており、注目されがちなハナに頼りにされるのを迷惑がっている様子。それでも、なんだかんだで困っている人を見過ごせない真っ直ぐな性格もあって、漏らしそうなハナの手を握り、いつも助けます。

「頑張れ! 自分の膀胱を信じるんだ!!」

どんなに緊迫した状況でも“おしっこ”と“おもらし”に関するワードが頻出するハナとソラのやりとりは、そのギャップが笑いを誘います。ハナがソラの手を握った途端、一気に尿意が引っ込む描写もバカバカしくて必見。

名作ゲーム『ICO』のキャッチコピーに「この人の手を離さない。僕の魂ごと離してしまう気がするから」というものがありますが、これに習うなら『ギリギリアウト』は「この人の手を離さない。漏らしてしまう気がするから」といったところでしょうか。

そうやってソラの助力を借りて、無事にトイレで用を足すことに成功する場合もあるハナですが、いつでも“間に合う”とは限らないのがこの漫画のタイトルが『ギリギリアウト』たる所以。ソラの奮闘も虚しく、ハナが“漏らしてしまう”、“アウト”なシチュエーションも時々、いや、かなり頻繁に発生します。そこからさらに「漏らしたことをどうやってほかの生徒に気付かれないようにするか?」という話になり、予想の斜め上の展開を見せるあたりも見どころです。

そんなふうに、いつも一生懸命に自分を助けてくれるソラに、ハナは「尿意を鎮める能力」とは関係なく、人としても惹かれていきます。そしてソラもやがて……?

一発ネタのような印象を受ける反面、展開のバリエーションはとても豊富で、「そんな馬鹿な!」とニヤニヤしてしまうことしきり。ハナの恋(?)のライバルとなる黒部汐莉やソラの姉・トワといったサブヒロインも魅力的で、読者を飽きさせることなく、単行本にして全6巻の物語を描き切って大団円を迎えます。

「おもらし」をテーマにしたラブコメディと聞くと品のない作品のように感じられるかもしれませんが、そうはならない一線が守られているのも本作を多くの人におすすめしたい理由のひとつ。がんばり屋なハナを誰もが応援したくなるはずですし、ソラの優しさや芯の強さにグッと来ることも多いはず。老若男女に自信を持って紹介できる一作です。

この記事を書いた人

小林 白菜

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