2021.07.28

23歳社会人女性が一目惚れしたのは、大人びた外見の10歳の少女…!?外見も年齢も逆転した百合コメディ!『気をつけなよ、お姉さん。』サスケ【おすすめ漫画】

『気をつけなよ、お姉さん。』

10歳の大人びた少女への、23歳社会人女性の届けるのが危うい恋心

ひそかに人気が膨らみ続けている漫画ジャンル、「おねロリ」

お姉さんと少女の百合(恋とは限らない淡い思い含む!)関係を描いた作品群のことだ。今回紹介する『気をつけなよ、お姉さん。』もいわゆる「おねロリ」ジャンルに入るであろう作品。ただし、大きな変化球があるため、物語が一筋縄では行かない。

23歳の女性、本田多恵(ほんだ・たえ)。今は会社に通うだけの生活を2年ほど送っている、くたびれ気味の社会人。これではまずいと運動不足解消のため市民プールを訪れたところ、足をつって溺れてしまう。

助けてくれたのは容姿端麗にして美しいボディライン、背が高くて優しい笑顔の持ち主の女性。あまりの美しさに一目惚れ。

「とうとう私にも春が…プールに来てよかった!!」と自らの恋心を噛み締めていたところ、その相手である五十嵐(いがらし)まいは小学5年生の10歳だと知る。

小柄で身長が低く幼児体型の多恵。まいと並ぶと頭一つ背の高さが違う。まいがボン・キュッ・ボンすぎるため、どう見てもまいが年上、多恵が年下に見えてしまう。一回りも年上なのに。

まいは身体バランスのみならず、精神面でも大人びているため、多恵の前でイケメンムーブを連発してくるから困る…いや、嬉しい。なめていた塩レモンキャンディをすっと多恵の口に差し込む、彼女の背にあわせてしゃがみこみながら「ボクは毎週多恵さんに会いたいよ」と耳元でささやく、夏祭りの浴衣を見て腕を組みながら「お姉さんも似合ってるよ!」と上目遣いで語りかける。

どこをとっても、まいに惚れてしまう要素てんこもり。もっとも漫画では多恵目線だから大人っぽく見えるというのは大いにある。「ボクは毎週~」という発言も、客観的に見たら子どもがじゃれついているのかもしれない。ただ恋をしてしまった女性から見たら、まいの一挙一動は「好きになってしまった女性の美しい所作」になってしまう。

よく見ると作中の細かいところでまいの幼さは出ているので、完璧な女性ではないのは注意して見ておきたいところ。彼女の優しさは、自分も多恵のことが気に入っているからゆえの、無邪気さでもある。でも無邪気さが優しさと結びついているのを、恋をした目線でみたら、そんなの惚れないわけがないとしか思えない描写になる。

大問題なのは10歳という年齢。多恵がどう彼女に恋をしても、10歳の子どもとつきあうわけにはいかない。もちろん手を出すわけにもいかない。果たしてどこでけりをつけるべきなのか。そもそもまいは多恵をどう思っているのか。

性別については一切触れておらず、あくまでもふたりの年齢の問題に焦点を定めている。百合よりもひねりのきいた「おねロリ」ものの場合は、付き合うとか恋愛関係とかを超越した、特異な関係を二人の間で築くことも重要なポイントになる。

今作は特に多恵の恋慕があまりにも強く、まいも今の関係が楽しくて仕方ないため、未来を考えるより今を楽しむ、という選択肢も大切だ。これからどうするのかが気になるし、できれば幸せになってほしいと願うハッピーな作品だが、とりあえず今はふたりが過ごす日々を、読者は壁になって静かに見守りたい。

この記事を書いた人

たまごまご

このライターの記事一覧

無料で読める漫画

すべて見る

    人気のレビュー

    すべて見る

        人気の漫画

        すべて見る

          おすすめの記事

          ランキング