2018.05.21
【日替わりレビュー:月曜日】『俺の胸でおやすみ』未散ソノオ
『俺の胸でおやすみ』
クライアントの快眠をサポートするプロ・睡眠アシスタントの恋物語です。
架空のお仕事が舞台のワーキング・ラブですね!
しかしこのお仕事、BL界といわずぜひリアルにも進出していただきたい魅力にあふれております。
疲れて帰宅したら夕飯やお風呂が完璧に用意されていて、会話の相手をしてくれて寝る前にお茶とか淹れてくれて、なんなら寝付くまで枕元で寄り添って子守歌まで歌ってくれるんですよ! 指名したイケメンが(そういえば女性スタッフはいなかったな……)!!!!
現実にやるとなるとハウスキーピングサービスなのか、それで添い寝&子守歌はセーフなのかと色々とスレスレなラインを攻めることになりそうですが、そしてとっても高そうですが、締め切り明けとかにメンテナンスしてほしすぎますね。
さてそんなお仕事に就いている今回のカップリングのお二人は同期です。
元テニス選手で脳筋な爽やか好青年の春臣と、見るからインドア系の儚げ美人のマキノ。
仕事でたまったストレスを解消するために、社内規定により定期的に相互メンテという名の睡眠サポートをし合う同士です。
ただの同期で同僚のはずだったのですが、ある日、退職するスタッフが唐突に春臣にキスしたところをマキノが見てしまったところから歯車が狂い始めます。ほとんど悪ふざけだったキスで、春臣もその相手も何とも思っていないのに、マキノは動揺し、そこで実は自分が春臣が好きだったと気づいてしまったために今までどおりに接することができなくなってしまうんですね。
正直、職場でふざけて同性にキスするとかどんなセクハラだよ案件ですが、そこはBLワールドというフィクションなのでスルーするとしましょう。
で、マキノはこれまた職場で春臣にやけくそのような告白をし、そのあとなんだかんだでお付き合いすることになるんですが……。
皆さんにもぜひ、私の驚きを共有していただきたい。このカップリングの受攻なんですけども。
読みながら、この二人がまさにベッドで一戦を交えるその瞬間まで、春臣×マキノだと思ってたんですよね。
そっち方面には疎い爽やかイケメンの春臣をリードしつつ受け入れるのがマキノだって思ってたんです!
そしたらですよ、まさかの逆でした。
マキノ×春臣だったんです!!!!!!
なんという衝撃。BLを読んでてカップリングの上下を間違えることってほとんどないんですが、今回は持っていかれました。
マキノ、ベッドではちゃんと攻で、春臣はそれをナチュラルに受け入れており、逆だと思ってたせいかとても不思議な感覚だったのですが、数コマで馴染んでてびっくりです。違和感を覚えたらそのシーンって頭にすっと入ってこないことが多いので。
全体的にシリアスなんですが、ふっと息を抜いて笑えるようなシーンもあり、緩急があってとても読みやすい作品です。
あ、カバーめくって下のおまけを読むのもお忘れなく……。
会社のオーナーやまわりの他のスタッフもなかなかにいい味をだしてくれており、これスピンオフとかありですよね……? という感じです。特に懐と謎の深そうなオーナーのお話がとっても気になる所存です。
©未散ソノオ/新書館