2018.06.24

【まとめ】古代のロマンあふれるエジプト系(!?)マンガ

およそ5000年も昔に幕を開け、世界四大文明の一角と位置づけられた古代エジプト

秘境冒険アクションの粋をこらした『ハムナプトラ』シリーズや金属アーマーを着込んだ神々が大暴れする『キング・オブ・エジプト』のような娯楽映画をはじめ、古今東西さまざまなフィクション作品で、歴史と神話が渾然一体となった題材としてとりあげられてきた存在である。

日本のメジャーなコンテンツを見ても、例えばTCG『遊☆戯☆王』初代のカードの意匠は古代エジプト要素抜きには語れず、また関連メディア作品のキャラクター設定でも古代エジプトの王や神官が物語の大きな鍵となったのはご存知の通り。

変わり種だと、神話そのまんまな造形のエジプト神たちに囲まれドキドキの学園生活を送る乙女ゲーアプリ『エジコイ!~エジプト神と恋しよっ~』なんてのがあったり、アニメ『けものフレンズ』の内容をエジプト壁画風に表現した二次創作イラストがネットをにぎわしたり……みんなエジプト好きだな! という感じで話題にことかかない。

そこで今回は、マンガで「エジプト系」の面白さを堪能できるタイトルに注目。『ファラオの墓』『ナイルの紋章』『天は赤い河のほとり』など昔からの定番もあるがそれらは別の機会に回し、ここ数年の作品に絞ってまとめてみた。

『碧いホルスの瞳 -男装の女王の物語-』

KADOKAWAのマンガ誌「ハルタ」生え抜きの新鋭・犬童千絵の連載作。

エジプト第18王朝を舞台に、トトメス1世の娘として生まれた王女シェプストが父の望みで異母兄トトメス2世に嫁がされ、心のかよわぬ夫王や権力を狙う者たちを向こうにまわして政治的・心理的な戦いを繰り広げる宮廷愛憎劇である。

シェプストは一般に「ハトシェプスト」と呼ばれる実在の人物で、最終的には夫と側室との間に生まれた子トトメス3世が幼くして王位を継いだ際に共同統治者となり、王朝初の女性ファラオにのぼりつめている。その史実をベースに、彼女の成長とともにストーリーが進んでいく。ちなみに現在最新の第4巻ではすでにトトメス3世少年が登場済み、シェプストは摂政として実権を握るところまできている。

聡明で活発で、大きな器があるにもかかわらず、女性であるという理由で軽んじられてしまうシェプストの歯がゆい境遇。
それでもなお自尊心を失わず生き抜く彼女の凛々しさが、一本の太い幹として作品の魅力を支えている。

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『Im ~イム~』

オカルト物品コレクターの父をもつ女子高生・羽羽方陽乃芽(はわかた ひのめ)が、古代エジプトの棺から呼び出された3000年前の大神官にして「神」とも呼ばれた男・イムホテプと出会い、人々に災いをもたらす偽物の神々「マガイ」との戦いに関わっていくことになるファンタジーアクション

現代日本を舞台にすることで、そこに飛び込んでくるエジプト要素がアクセントとして際立ち、アクションや人間関係をうまく盛り上げている。

イムホテプのモデルはエジプト第3王朝ジェゼル王に宰相として仕えた同名の高級神官で、そのジェゼルも劇中のキャラクターとして重要な役割を担う。さらに女王クレオパトラ(プトレマイオス朝最後のファラオ、クレオパトラ七世)も登場し、現代日本と古代エジプトをつなぐだけでなく古代エジプト要素のなかでも超時空的なシチュエーションが設けられている。

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『ファラ夫』

こちらは以前、当「コミスぺ!」の別記事でも紹介した作品。

東京の国分寺にある縄文時代の地層でなぜか古代エジプトの棺が発掘され、中から出てきたファラオのミイラが市民権を得てアルバイト生活で糊口をしのぐ姿を描いたコメディマンガだ。

ネトゲで女性アバターのギルド仲間とイチャついて人生初のモテ期到来と浮かれたり、合コンでガラケーを馬鹿にされてスマホに買い替えようとしたり、シチューションだけ見てもビターな笑いを生むエピソード満載。そして、それらがすべて6000年の時を越えたミイラの王様の行動であるという掛け算によって、日常とも非日常とも言えぬ不思議な趣がクセになる面白さです。

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『えじぷり!』

モテモテだが本人はずっと女性を避けてきた男子高校生・煌(こう)が、ある日ひとりの女子高生に恋をした。

彼女の名はクレオさん。横顔の美しいフォルムはもはや人間レベルではなく……というか人間ではなく……古代エジプトの壁画でおなじみの絵柄そのままの造形だった。
恋の情熱に浮かれた煌くんはヒエログリフでラブレターを書くわ自らミイラ化しようとするわで奇行に走りながら、なんとかクレオさんとお近づきになろうと励むが……はたして2人の関係はどうなるのか!?

という具合に“見た目が壁画な女の子”をヒロインにすえた、奇想あふれるラブコメ少女マンガである。煌くんには親友男子、クレオさんには親友女子をサポートにつけることで適度なツッコミが入り、ラブコメの「コメ」部分にいいスパイスが効いている。

ところでクレオさん、気立てはいいし、煌くんの基準を飲み込めればお顔が整っているのは間違いないし、実際かわいく見えてくるんですが……!

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『イマドキ☆エジプト神』

エジプト神話の神々が、なぜかスーツ姿で現代社会に混じって仕事や遊びにいそしむ様子をつづった異色の4コマコメディ
ペットショップで動物を買おうとしたら犬頭のアヌビス神と猫頭のバステト神が何故かお店のケージに入っていたのでつい選んでしまうと、家に居つきペット化してしまうのをはじめ、神々のお茶目で気ままな行動が逐一おもしろい。

どの神も無言あるいは極端に寡黙なまま動き回るので何を考えているのか分からない場面もちょいちょいあって、人間の暮らしに混じりはしても同一化まではしない異物感のさじ加減が絶妙である。
そういう存在が人間をふりまわすという意味では、むしろちゃんと神話的ではあるかも。あるいは、神様を身近な妖怪の次元に下ろした笑いともいえようか。

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『聖船のラー』

現代のなかに古代を放り込むのではなく、逆に、古代を舞台にして現代的な要素を入れるアプローチをとったのが本作である。

太陽神ラーが太陽を明るくするために使っている乾電池をマンガンからアルカリに変えたら日照りが強くなりすぎて地上が乾きあがってしまうやら、コスパを追求して太陽をLEDにしたら熱が出ないため地上が冷え込んでしまうといった“スケールの大きな小ネタ”を淡々と入れてくるおとぼけ具合が楽しい4コマギャグマンガになっている。

神々と信仰と国家運営の関係、歴史の流れ、ミイラ作りの手順などトリビア的な読みにも応じる内容で、情報量が多い。

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『エジプトの三角』

こちらも古代エジプトを舞台にしたギャグマンガだが、視点の主は神々ではなく人間。それもピラミッド建設にかりだされる労働者や、うだつのあがらないパン職人といった平民キャラを中心にしているのが特色だ。

こんなに石を切り出していったい何を作っているんだか全然分からないんだけど……え、たった一人のためのお墓!? ファラオのやることはしょうもないなー! ……とあきれながらも仕事は仕事なのでやらなくてはいけない男たちがとりとめない愚痴やおふざけを繰り広げるドタバタを見ていると、どんなに壮大な文明の歴史にも足もとにはいつだって人間ひとりひとりのミクロな日常があるんだよなあ、と気づかされる。

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『名探偵コナン推理ファイル エジプトの謎』

小学館の「学習まんがシリーズ」から刊行された児童向け教育マンガのひとつ。

『名探偵コナン』の江戸川コナンが事件の謎を追うマンガパートに解説コラムをつけた構成で、このシリーズでは理科・算数・社会・国語とさまざまなテーマをあつかっているが、本巻はタイトルどおり古代エジプト文明を紹介している。

2009年刊行なので、いま成人より少し前くらいの世代だとエジプト関係の刷り込みはこのコナン君のマンガで、という人が結構おられるのでしょうかねー。




さて、いかがだろうか。
古代エジプトは、ファラオの墓新発見の知らせや、現地最大と名高いギザのピラミッド内部にある巨大空洞の探査がニュースになるなど、悠久の時をへだてた今もずっと新鮮なロマンで現代人を刺激し続けている。

ぜひ上に紹介したマンガを読んで、その背景に広がる現実のエジプト史跡や神話にも関心を寄せるきっかけとしていただきたい。

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miyamo

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