2018.08.06
【日替わりレビュー:月曜日】『スウィート・ペイン』椿
『スウィート・ペイン』
とっても甘~い雰囲気の表紙ですが、中身も予想を裏切らない甘い感じです。
リーマンBLと学園モノBLの詰め合わせとなっております。
まずは、成績トップの河野と、成績最下位の楠原が仕事でコンビを組まされ、一緒に働くうちに恋に落ちるやつです。
エリート然とした河野は如何にも仕事ができそうなイケメンで人当たりも良く、何でもそつなくこなす優等生系で、楠原は仕事がうまくいかない憂さ晴らしに相手(もちろん男)をとっかえひっかえしてストレスを発散している問題児です。
楠原は、酔いつぶれた自分を自宅に連れ帰って看病してくれた楠原に、どんなに頑張っても追いつけない苛立ちから「俺が追いつけないならおまえを引きずりおろしてやる!」というサイテーメンタルで押し倒そうとします。が、ずっと自分を押し殺して6人の兄妹を育ててきた河野がここでスイッチオン。押し倒したつもりが逆転されて、まさかのベッドで受攻が交代されました。ちょっとびっくりしましたね……。
そして、その河野の弟君のお話です。こちら学園モノとなっております。
お金を稼いでくる兄と、それをやりくりして家庭を回す一番上の弟という立場の彼。
次男として家庭を維持することで頭がいっぱいの和臣は、学校のことに構っている暇などなく、故に超クール系と思われ、クラスメイトとも必然的に一定の距離を置く感じになっていました。一方、和臣の先輩に当たる牧瀬は、こだわりがなさ過ぎて自分の感情にも無頓着で、結果的に誰にでも優しいキャラに。好きでもない女の子に告白されて、嫌いじゃないしまあいいかという感じで付き合い始め、女の子が「この人、私にだけ優しいんじゃなくて誰にでも優しいんだ」って気づいて破局するという残念なパターンです。
そんな二人が偶然出会って、園芸同好会に誘われた和臣は少しずつ牧瀬に心を開いていき、いろいろあってお互いがお互いにちゃんと執着できるようになってハッピーエンドという、学園物の教科書みたいなきれいな流れで終わります。
アオリによると「誰にも執着できないリア充な先輩×恋を知らない無垢な後輩」
まさに青春。甘酸っぱい学園モノBLです。
それぞれのちょっとした心の動きなどがとても丁寧に描写されており、要所要所でキュンキュンしますし、決めゴマがとっても色っぽいのでドキドキします。
今回は河野家の長男次男の恋物語でしたが、この一家、あと下に4人の弟がいるんですよねえ……。
BLってシリーズになると一家そろってBLカップルになったりするので、ちょっと期待してしまいます。
©椿/竹書房