2018.08.29
【日替わりレビュー:水曜日】『彼女とつーぴー』森井暁正
『彼女とつーぴー』
負けた人が受ける、エッチすぎる罰ゲーム!
「つーぴー」は英語表記を見ると「2P」、つまり二人プレイの意味。
突如告白をしてきた、クラス一の美少女・瀬賀遊子。呆気にとられる天堂ジン。二人は中学二年生。
どうやら瀬賀は、あらゆるゲームにこだわりがあるらしい。
口数が少ない彼女。初めて二人で一緒に下校した時言い出したのは、砂場の棒倒しゲーム対決。罰ゲームとして「負けたら勝った人から胸をもまれる」と瀬賀が提案。天堂少年、こんな美味しい提案乗らないわけがない。勝ったのは、天堂。彼の手が、瀬賀の胸に伸びていく……。
初々しくもエッチ度ギリギリな中学生カップルを描いた、セクシーラブコメディ。
二人でいる時大抵瀬賀はゲームの話を持ち出す。ゲーム自体は普通のものなのだが、罰が際どすぎる。
「負けた方は勝った人のパンツをはいて1日すごす」「負けた方は数字分服を脱ぐ」という直接的にエッチすぎるものもあれば「負けた方が勝った方にアイスをおごり、食べさせる」という、実際やってみることで初めてヤバさに気づくフェティッシュな変化球まで。
じゃんけんで負けた方が次の電柱まで相手のカバンを持つ、という子供の間ではオーソドックスなゲームも、瀬賀にかかれば一気に緊迫するネタに。
途中でルールが「負けた方は勝った方を次の電柱までおんぶする」に変更され、肌の密着度合いが急上昇。さらに罰ゲームはヒートアップし、だっこに変更。天堂、手で瀬賀のお尻を支え、全身で女の子の柔らかさを感じることに。それもう性行為だよ…!
むちゃくちゃすぎるエッチな罰ゲームの数々だが、この作品は二人の心理描写で、なんとなくいい話にまとめていくから見事。
瀬賀がゲームを提案するのは、ゲームを通じてなら自分の心を正直に出し、人とコミュニケーションできるからだ。小さい頃はゲームのおかげで友達がたくさんいたけれども、みんながゲームに飽きていくことで浮いてしまい、人付き合いが苦手になった彼女。
でも天堂はゲームに乗ってくれる。瀬賀も天堂には「ゲームだから」とちょっと強引に、大胆に話すことができる。
「俺は楽しいよ 瀬賀さんとゲームしてて」
瀬賀の孤独だった心が、天堂とのゲームで癒やされていく描写はとても優しい。そしてゲームの枠にとらわれず、まっすぐに「瀬賀さんを知りたい」と語りかけてくる天堂に、彼女も影響を受けはじめる。
とはいえなぜ、極端にエッチな罰ゲームばかりだしてくるのか。「それ危険すぎじゃ…」という天堂に、赤面しながら瀬賀は言う。
「だから燃えるんじゃない」
ゲーマーなだけでなく、ギャンブラー気質な瀬賀。出てくる罰ゲームは、どちらが負けてもドキドキな際どいものぞろいだ。
©森井暁正/日本文芸社