2018.09.25
【日替わりレビュー:火曜日】『ノブナガ先生』大和田秀樹
『ノブナガ先生』
この男、多作につき。猛烈な執筆ペースでマンガを描き続け、そのどれもが面白いという驚異的なマンガ家・大和田秀樹先生。
異世界モノが流行っている昨今、逆に織田信長が現代日本に転移してやってきたifを描いたのが『ノブナガ先生』。
本能寺の変の最中にタイムリープした織田信長。学校で教師をやることになった織田信長が生徒に教えるのが、意外なことに最新のテクノロジーや理論だったりするのがユニークです。パソコンを使いこなして仮想通貨やったり、スマホでソーシャルゲームやってたり、適応力が高すぎる。
信長といえば冷徹・粗暴な一面も有名です。とある事件で、そのまま日本刀で斬り伏せるのかと思いきや、
「コンプライアンス的にムリだろ今時」
現代社会に順応しすぎてる信長先生なのです。
ソシャゲの課金で、1%を当てるために何回ガチャを回せばいいのかを検証する回が印象的でした。99.9%にするためには688回も回す必要があるんですって。それでも1000人に一人は出ない計算だとか。なるほど勉強になりました。
確率論や引きこもり・不良の更生などを、常識に囚われない破天荒さと予想のつかない行動で解決する信長先生。
主人公の部下に常識的な小心者が就くという、いつもの大和田秀樹作品らしさも健在。数え切れないほどモチーフとなってきた織田信長像をそのままに、大和田秀樹先生のエッセンスが凝縮されているのが見事です。
©大和田秀樹/日本文芸社