2018.11.02
【インタビュー】『終末のハーレム』『終末のハーレム ファンタジア』作者勢揃いの特別座談会!
いろんな女の子に囲まれて、子作りを迫られちゃうエロティックサスペンスSF『終末のハーレム』。本日11月2日に単行本の7巻と、『終末のハーレム ファンタジア』の1巻が同時発売されました。
今回は『終末のハーレム』シリーズの原作者であるLINK先生、宵野コタロー先生(『終末のハーレム』作画担当)・SAVAN先生(『終末のハーレム ファンタジア』作画担当)の三人をお迎えしての、豪華な『終末のハーレム』座談会をお届けします!
(取材・文:かーずSP/編集:コミスペ!編集部)
世の中にはまだまだハーレムが足りない
──『終末のハーレム』(以下、『無印』)が連載している中、『終末のハーレム ファンタジア』(以下、『ファンタジア』)をはじめようと思ったのはどうしてなんでしょうか?
LINK:世の中には、まだまだハーレムが足りないからです。
──もっと女の子に囲まれて、チヤホヤされたいと?
LINK:はい。『無印』はおかげさまでご好評をいただいてます。ですが、色んなヒロインが出てきて主人公がモテモテになるという物語の需要は、まだあるんじゃないかという見立てがありました。
『無印』は近未来を舞台とした作品なので、女剣士やエルフは出てきません。なので、ファンタジー世界を舞台とした新しい『終末のハーレム』は『無印』と両立するのではと考え、「ウルトラジャンプ」の編集者との打ち合わせを進めて企画が決まりました。
──『ファンタジア』は別の世界観・物語なのに、「終末のハーレム」という同じタイトルを冠したのはどうしてでしょうか?
LINK:内容としてはSFとファンタジーで、それぞれ別の作品です。ですが「世界の終わり」というキーワードと、大勢のヒロインが出てきてエッチなシーンがあるという構造に関しては共通しています。
例えば『仮面ライダー』『プリキュア』『ガンダム』のように、キャラクターも時代もユニバースも違うんですけど、読者の方が得られる喜びが似ているシリーズ作として捉えていただければと思います。『無印』に備わっている魅力が、『ファンタジア』でも同じ種類の喜びとして味わって頂けると考えています。
モテモテになりたいって妄想していたので即OK
──作画のSAVAN先生は、はじめに連載のお話を聞いたときはいかがでしたか?
SAVAN:「いろんな女の子に囲まれてモテモテになれたらいいな」ってベッドで妄想していた話をドンピシャで頂いたので、ぜひ頑張らせていただきたいとお引き受けしました。
(一同笑)
ウルトラジャンプ担当編集:毎回3人でみんなの妄想を爆発させるという、楽しい打ち合わせをさせていただいてます。3人で「乳首」とか「巨乳」とか発言していて、ルノ○ールで『ファンタジア』ができたと言っても過言ではありません。
──宵野コタロー先生は『ファンタジア』をお読みになった第一印象はいかがでしたか?
宵野コタロー:1話からまず、『無印』には全然ないアクションシーンが特徴的だなってことと、やっぱり焦りました。食われたらどうしようみたいな(笑)。作画のクオリティがすごく高いので、逆に世界観が違ってよかったです。同じ舞台だったら比べられてしまうので……(笑)。
作者が好きなキャラクターは、読者にも熱量が伝わる
──『終末のハーレム』は連載開始から2年経ちました。連載開始の頃と今とで、変化した点はありますか?
宵野コタロー:最初は近未来SFに限られた舞台だったんです。でも土井翔太編で学校が出てきたり、ナンバー4(木根渕善)の登場の際は集落が出てきたりと世界観が広がりました。翔太はサブ主人公という心持ちで最初描いていましたが、存在感が増していって、ダブル主人公になっていきましたね。
LINK:翔太がここまで活躍するとは私も思っていませんでした。予想以上に読者からの支持をいただきまして、私も書いていてすごく楽しい、魅力的な人物になっていると思います。
──土井翔太編でも女性がたくさん登場します。描きやすいヒロインはいますか?
宵野コタロー:描いていて楽しいのは東堂晶ちゃんかな。見た目的にも絵力のある身体ですし。お尻も魅力的で、ブルマのユニフォーム姿をもっと描きたかったです。
LINK:私も晶がすごく好きです。公式サイトで人気投票をした時も圧倒的に1位でした。作り手が好きと思って描くと読者にも伝わるんだと感じた瞬間です。
SAVAN:私も晶ちゃんが好きですし、羽生柚希先生も好きです。
──おっぱい星人ですね。
SAVAN:たわわで黒髪な人が好きなんです。
宵野コタロー:あ、『ファンタジア』で黒髪はまだいないですよね?
LINK:そう聞いたからには、最強の黒髪を出しましょう!
──『ファンタジア』の方では、お気に入りキャラっていますか?
LINK:ラティフォリアザードという妖艶なダークエルフが好きです。『無印』では絶対に出てこない種族ですし、その独自性とミステリアスさが、SAVAN先生の絵の魅力のおかげで一層好きになりました。
SAVAN:私は強い女性が好きなので、セリーヌが好きです。
宵野コタロー:私は男の子で言ったらガビアルが、ツンツンした外見も内面も両方好きですね。女の子だと、同じくセリーヌみたいな強くて意志が強いタイプが良いです。
女の子を描くのも、おじさんを描くのも楽しい
──物語の性質上、女性が大量に登場するので、デザインなどで苦労されませんか?
LINK:7巻の時点で3~40人ほど女性が登場していて、マンガ連載としては異例の人数だと思います。
宵野コタロー:まあ、描き分けは大変ですね(笑)。
LINK:ご負担をおかけしています……。
宵野コタロー:いえいえ(笑)。ナンバーズ同士のグループ内で、なるべく似たような髪型や表情にならないように気をつけてます。同じトーンや色合いを使ってしまうと読者が混乱するので、そこは気をつけているポイントですね。
──『ファンタジア』でも、これからたくさん女性が出てくると思います。
SAVAN:女の子をたくさん描けるのは楽しいです。私は髪型とかファッションとか好きなフェチがたくさんあるんですけど、男と女で考えた時、より多くのフェチを表現できるのが女性だから楽しいんだと思います。でもおじさんを描くのも好きです。『ファンタジア』にはアルクの父親とか大叔父とか、癖のあるいろんなおじさんを描けるので最高です。
宵野コタロー:おじさんを描くのが楽しいっていうのは、昔からですか?
SAVAN:そうですね。男性は特に、年をとると女性よりも顔の骨格があらわになってくるんです。その人のオリジナリティが出てきて、味も出てくるのがグッときます。オノ・ナツメ先生の『リストランテ・パラディーゾ』というマンガが大好きで、あの作品がきっかけだったかもしれません。
宵野コタロー:おばさんはどうなんですか? 熟女は!(やや興奮ぎみ)
SAVAN:あー、言われてみるとおばさんはエアースポットでした。少年かおじさんか若い女性ばかりで、そこは全然触ったことがなかったです。
LINK:熟女も登場させましょう。ファンタジーの世界において、魔女とか年齢を重ねた女性が魅力というのはあるかもしれません。
ウルトラジャンプ担当編集:エルフって370歳とかでもピチピチの可愛い女の子ですから、そういうのがあっても良いかもしれませんね。
LINK:合法熟女というべきか(笑)。
背景にエネルギーを使いすぎずキャラクターを見せる、作画テクニック
──SAVAN先生からみた、『無印』はどうでしょうか?
SAVAN:巻が進むごとにコマ割りがどんどんダイナミックになっていって、見習うべきところが多いと感じます。宵野コタロー先生の過去の成人向けマンガ作品と『無印』を比べると、やっぱり絵柄が変わったなって感じます。白と黒とグレーのバランスがすごく良くて、マンガが読みやすいんです。
宵野コタロー:ありがとうございます! 白と黒とグレーのバランスはすごく意識している部分です。成人向けは情報量も多いですし、描き込みの量も全然違います。しかし一般向けマンガでそこまで描いてしまうと読みづらくなりますし、作画に時間もかかってしまいます。そこの足し算・引き算は難しいですね。
SAVAN:私はまだグラデトーン呪縛に捕らわれている所がありまして…。
宵野コタロー:わかります、グラデトーンを貼っておけばおしゃれ!みたいな(笑)。トーンを多用しちゃうと重みがなくなるので、できるだけ使いたくないけど、画面が白いのが怖いっていう。余白恐怖症なのかなって。
SAVAN:ありますね(笑)。『無印』では余白の作り方がお上手だと感じます。例えば1ページに6コマあるとすると、そのうちの2、3個は白い背景になっていて、それでも白いコマが気にならない配置になっているのがすごいです。
宵野コタロー:そこは意識しているんですけど、まだ模索中なんです。少年マンガ誌を読んでいると、背景が描かれていないコマでも画面がしっかりしているんですよ。どうしてだろうって研究しながら自分のネームを切っています。
「少年ジャンプ+」担当編集:『終末のハーレム』に限らず、マンガを読む方はキャラクターが見たいんです。背景は場所を示す舞台装置なので、そこにあまり力を入れすぎて、キャラクターにかけるエネルギーが減るのはもったいないとお伝えしています。
一方『ファンタジア』は、黒くて重苦しい画面がダークファンタジーという作風に合っていると感じています。「明るく冒険するぜ!」っていうよりは、世界が終わっていく中でどう生き抜いていくかというストーリーです。その原作のイメージ通りに雰囲気を再現してもらっています。
──同じ作者の書かれた原作を、別の二人がマンガにしているわけですよね。LINK先生の原作について、お二人はなにか感じるところはありますか?
宵野コタロー:すごくネームが切りやすいですよね?
SAVAN:………切りやすいです……。
(一同笑)
LINK:至らないところがあったら今、ダメ出しして下さい! 直しますので!
SAVAN:いやいやいや(笑)。LINK先生の原作には最小限の情報があって、その先は作家側に信頼して任せていただいていると感じる部分があります。例えば、いけ好かないナイルという男がアルクを痛めつけて、月夜をバックにメガネを拭くシーンがありました。
これは原作では指示されていなくて、頭の中に自然と湧いて出たんです。ナイルだったら赤子の手をひねるようにやっつけられるから、余裕ぶってこういうこともするかなって。それもひとえに原作がシンプルで、余計な情報がないからです。
攻めているコミックスの帯の煽り文句、その真意は?
──紙の単行本の帯が毎回凝ってます。iOS版アプリに本作が載らなくなってしまったことも書いていて、ぶっちゃけていますよね。
「少年ジャンプ+」担当編集:これは事実を報告しているだけですから(笑)。連載から一年くらい経ったときに、諸般の事情によりiOSでは配信されなくなってしまいました。ギリギリを攻めているので仕方がないことなんですが、ただでは転びたくないと。少しでも元を取りたいということで、事実を皆さんにご報告差し上げた次第です。
──(笑)。当時のお気持ちはどうだったんでしょうか?
宵野コタロー:私はiPhoneユーザーだったので個人的には残念な気持ちもありました。でも担当編集さんが「絶対にマイナスにならないように頑張ります」とおっしゃってくれていたので、そこに関して不安はなかったです。
「少年ジャンプ+」担当編集:もっと早い段階で削除されていたらピンチ度は高かったと思います。ですが人気作として大気圏を突破した後だったので、そこまでアクセスが下がったという感じはしませんでした。
この件については、ブーメランパンツ野郎先生が「Stand by me」という読み切りマンガにしてくださっています。そちらもよろしければぜひ読んでみて下さい。
『終末のハーレム』のWバーチャル企画
──先日、『終末のハーレム』のヒロインがVTuberになるという発表がありました。
──キャラクターは非公開ってなってますけど、このYouTubeアカウントのアイコンはいったい……。
「少年ジャンプ+担当編集」:いいところに気付きましたね! これは『終末のハーレム』ファンの方だけが気付く、ちょっとした仕掛けです! 決してアイコン監修時に情報解禁日を間違えていたわけではありません!
──(あっ…これは間違えたやつだ。)どうして黒田・レイン・ちふゆが選ばれたんでしょうか?
LINK:ちふゆは幼いので、本編ではエッチなことはしていません。VTuberとしてセクシーすぎるのはNGということがまずあります。それにちふゆは元気で可愛らしく、いじりがいがある性格がVTuberにピッタリなので決まりました。
宵野コタロー:ちふゆは大人の事情でサービスシーンが少ないので適任かなと(笑)。この企画に『悪魔のメムメムちゃん』とともに『終末のハーレム』を選んでくれたことはすごく嬉しいです!(※同日、メムメムちゃんもVTuberデビューすることが発表された)
──さらに、『終末のハーレム』がVRソフトになるということですが。
宵野コタロー:ひたすらびっくりしました。どこまで攻めるんだろうって(笑)。
「少年ジャンプ+」担当編集:VRソフトは、来年の春頃を目指して鋭意制作中です。期待してください!
3人にそれぞれ訊いた、最近オススメのマンガは?
──皆さんのお好きなマンガについて教えてください。
宵野コタロー:今読んでいて面白いのが『ブルーピリオド』です。
目標がない高校2年生の子が絵画の世界にはまっていくんですけど、その描き方がすごい繊細で天才肌。でも絵画に関してはすごい初心者で、応援したくなる印象がすごく強いんです。「マンガを描く人はデッサンには触れない」とか、グサッと来て勉強になるような刺激ももらえます(笑)。
SAVAN:私は『BE BLUES!〜青になれ〜』が熱いです。
最初、主人公がとんでもない挫折するところから始まるんですけど、ダレずにものすごい勢いで復活するんです。いろんなキャラクターが登場して楽しめる軌道までさっさと乗って、その後に王道展開をやるという作りがいい。疲れている時でも本棚から出して読んでいます。
──熱血系はお好きなんですか?
SAVAN:私も「ジャンプ」の黄金期で育った人間なので、『スラムダンク』にハマってました。もう一冊は『妄想テレパシー』っていう四コママンガも注目しています。主人公の女の子が相手の心を読める設定で、サラッと読めて楽しめる。それでいて、すごく考えさせられる内容が好きですね。
LINK:おばあちゃんと女子高生がBLマンガを通して親しくなっていく、『メタモルフォーゼの縁側』という作品を挙げさせていただきます。
この作品は状況設定が面白いんですが、感情描写や人間関係の描きかたが丁寧で優しい、ハートウォーミングな話で。もともと私は世界の謎とか大事件が好きで、『終末のハーレム』のような壮大なストーリーを面白いと感じて創作しています。ですが、この作品には決してそうした壮大な物語でなくても、面白いマンガって作れるんだなって、改めて勉強させてもらいました。大事件が起こらなくても、心の動きを描写していくことで素敵なストーリーが生まれることに感銘を受けました。
7巻では5人まとめてのハーレムシーンに注目!
──それでは新刊の告知をお願いします。
ウルトラジャンプ担当編集:紙の本限定ですが、両方をご購入いただきますと、サイン色紙やグッズが当たるキャンペーンをやっています。二冊ともよろしくお願い致します。
宵野コタロー:『終末のハーレム』7巻では、教室で繰り広げられる1対5のシチュエーションが、だいぶインパクトのあるメイティング(※『終末のハーレム』世界における、子作りの名称)になってると思います!
また、過去にもグラビア企画「週末のハーレム」などをやらせていただきましたが、今後もVtuberとかVRソフトとか、賑やかな企画が予定されています。本編の物語も加速していってますので、これを機会に新しい方にも読んでいただきたいです。
LINK:『無印』を2年以上やらせていただいて、内容も盛り上がっています。全く別軸でストーリーが進んでいた水原怜人と土井翔太が、7巻の最後でどう出会って二つの舞台が絡み合っていくのかを楽しみにしていただけたらと思います。
魅力的なヒロインのエッチシーンもどんどん出てきますので、引き続き一層楽しんでいただけるかなと!
SAVAN:『ファンタジア』はすごく可能性を感じるシナリオで、描いている私自身もこの先の展開がすごく楽しみです。自分の最大限のエロスをこめて、ダークさや背徳感も盛り込みましたので、楽しんで頂けたら嬉しいです。
LINK:『無印』の時も1巻目はそこまでエッチなシーンは多くありませんでした。でもそこでストーリーの基礎と世界観ができてから、どんどん過激さを増していって大好評いただいているという流れがあります。
『ファンタジア』も1巻を通して読むと、作品世界がよりはっきりわかります。加筆もありますので是非一度お通して読んでいただければ嬉しいです。「ウルトラジャンプ」で連載しておりますし、「少年ジャンプ+」でもディレイ配信しています。手に取りやすい形で連載の方も応援していただけたらと思います。
──本日はありがとうございました。
作品情報
©宵野コタロー,LINK/集英社, ©SAVAN,LINK/集英社