2018.12.24
【日替わりレビュー:月曜日】『新月を見上げて ~オカルト男子の愛し方~』吉野ルカ
『新月を見上げて~オカルト男子の愛し方~』
オカルト男子同士のカップリングでした……。
「無自覚系霊感体質オカルトライター」×「見える系霊感体質臆病メガネ男子」という組み合わせ。
飲み会の席で偶然同席したオカルトライター・士郎に「見える人」としてアシスタントにスカウトされた晃は、仕事の補助だけでなく恋愛面でもお付き合いしているような流れになっていました。え、いつどうやってゲイでもない一般人を口説いてたの!? というくらい垣根が低い感じで身体の関係になっていたみたいです。
そうなの? 最近の若者は「もっとこの人に関わってみたい」程度の好意と好奇心で、性的指向の違いまで乗り越えてベッドで仲良くしちゃえるの!!? と昭和生まれが慌ててしまうほどカジュアルにお洋服脱いじゃってました。
ノリは軽いけど、ふたりとも思ったよりかなり真剣です。取材先でヤバイ建物から逃げ帰った後に景気づけにホテルにしけこんでいようが、霊を追い払えるらしいよとかいい加減なことを言いながらお外で致そうとしようが、驚いたことに──ちゃんと本気でした。
晃は、自分が「見える」体質だということを士郎が信じてくれていたと思っていたのに、見えるというその事象を「想像力と感受性」、つまり「気のせい」だといわれてショックを受けてしまいます。一方の士郎は、もともと女性を好きになる性的指向だった晃が、自分との付き合いを仕事仲間相手に否定しているのを見てしまい、やはりショックを受けます。
本気で好きであるがゆえに、この相手へのショックが大きくてすれ違い気味になる二人。もちろん最終的には、雨降って地固まる方式が発動して、ちゃんと相思相愛になってハッピーエンドなのですが、オカルト的にも恋の行方的にもドキドキハラハラさせられた作品でした。
とってもカジュアルにいちゃいちゃするふたりですので、肌色シーン的にも満足できるかと思います! すごくハートフルで素敵な表紙絵と、「こんなに震えて…かわいそうに 大丈夫かい? えっちする?」という色々とアレなオビが本の内容をすべて物語っていて、入口からとっても秀逸なビジュアルですよ!
©吉野ルカ/道玄坂書房