2019.01.18

【日替わりレビュー:金曜日】『柚木さんちの四兄弟』藤沢志月

『柚木さんちの四兄弟』

『ハツ*ハル』『キミのとなりで青春中』藤沢志月先生による新連載『柚木さんちの四兄弟』の第1巻が発売されました。

2年前、突然両親を亡くしてしまった柚木家の四兄弟。長男のは唯一の社会人で、仕事に家事に家族を支えています。次男のはクールな中学1年生で、静かに兄を助けるしっかり者。三男のは未熟児で生まれたために、双子では無いものの尊と同学年。やんちゃで明るい、柚木家のムードメーカーです。そして四男・は、ちょっぴり老成なおっとり小学生。

ライバルのようで友達のような、4人の家族の新感覚青春グラフィティとなっています。

あの恋愛至上主義な「ベツコミ」で、ファミリーものですよ。しかもそれを藤沢志月先生がやるってのが意外すぎて、さらにびっくりです。それこそ恋愛要素入れたっていいと思うのですが、ご近所の女の子こそ登場するものの、恋愛の”れ”の字もないレベル。極めてド直球のファミリーものなので、「おいおい、ベツコミ大丈夫か?」と心配になるぐらいです。

さて、肝心の四兄弟ですが、年の近い兄弟たちというわけではなく、社会人から小学生までその年齢層は幅広く、それぞれの視点から家族を見つめ、それ相応の悩みを抱えているのが面白いところ。

長男は社会人になって間もないながら、その時間は全て家族のために使うため、若者らしい趣味も浮いた話も一切無し。それこそ学生時代はイケメンでモテていたのですが、女性から遠ざかって久しく、それが悩みだったりします。

一方で四男は、自分の家が普通の家庭とは異なり大変であることを幼いながらに理解し、小学生になったばかりとは思えないほど落ち着いた、お年寄りじみた性格なのが面白く、可愛らしいです。最年少ながら、家族の安定剤といった印象ですね。

そんな上下とは打って変わって、次男と三男は双子じゃないけれど生まれたタイミングの関係で同じ学年という、微妙な関係。次男の方が性格もしっかりしており、まさに家族のナンバー2という感じで頼られているのですが、三男からすると「同い年なのに……」と不満な様子。ライバル意識もメラメラで、けれども何か任せるには頼りなく軽率な性格なので、勢いのままに行動して色々とトラブルをもたらすという、お約束的なトラブルメーカーでございます。

1巻では、4人それぞれの視点から、どのように家族を見ているのかが描かれ、それぞれの関係性と立ち位置が浮き彫りになります。それぞれのポジションがわかった上で、2巻以降その土台でいよいよ物語が動いていくことになるでしょう。極めてハートフルで、完成度の高い物語

ベツコミというファミリーものがあまり根付いていない土壌で、この作品自身がどのように成長していくのか、要注目です。

この記事を書いた人

いづき

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