2019.01.25
【日替わりレビュー:金曜日】『ブラザー・トラップ』日向きょう
『ブラザー・トラップ』
日向きょう先生の作品『ブラザー・トラップ』の第1巻が発売されました。
ストーリーはこんな感じです。
主人公のあかりは、少女マンガが大好きな大学生。ある日飲み会で、口数少ない年下男子の和泉と出会います。元彼が原因で新しい恋をできずにいたあかりでしたが、言葉少なに、けれども誠実に接してくれる和泉を前に、新しい恋の予感が……。少しずつ仲良くなっていく二人でしたが、思わぬ事実を知って……。
表紙に3人いるのに、あらすじ紹介では2人しか登場しない不思議。いやすみません、だって登場してくるの遅いんだもん。
なんとなくタイトルから想像つくかもしれませんが、表紙に描かれているメンズ2名は兄弟。件の和泉は右側の方。そしていかにもチャラそうな左側がお兄ちゃんの大和で、あかりの高校時代の元カレです。そう、思わぬ事実とは、好意を寄せていた相手が、元カレの弟であったということ。しかもその元カレ、あかりにとってはトラウマを植え付けられた相手で、悪い意味で忘れられない人。
好きな人に近づきたいけど、近づくと思い出したくない相手がいる……そんな、ちょっと変わったもどかしさが特徴的な三角関係が描かれます。
主人公のあかりは、どちらかというとおとなしい性格で周りに気を遣ってばかりの、やや臆病なヒロイン。それに対して和泉もまた、無口で表情があまり変わらないおとなしいタイプで、なんというか二人とも”静”という感じ。どちらも相手に遠慮をしつつ、気遣いながら接している感じが実に初々しくて、ほんわか見守れるんですよね。
それに対して兄の大和は完全に”動”であり”陽”。正直「三角関係になるのか?」というぐらい現時点で大和は浮いているのですが、元カレという立場であったり、彼の持っている魅力が発揮されるなどして、2巻以降ではよりもつれた様相を呈してくるのではないかと、期待が高まります。
余計なものは一切ない、シンプルでピュアで切ない、胸キュン募るラブストーリー。何が良いって、純度が高いのでとにかく読みやすい。等身大のラブストーリーが好きならば、チェックしておいてまず損は無い一作と言えるのではないでしょうか。
©日向きょう/KADOKAWA