2019.02.11
【日替わりレビュー:月曜日】『運命は迷子』藤谷陽子
『運命は迷子』
同じ幼稚園、同じ小学校に中学校、高校──。ずっと一緒に育ってきた仲良しの幼馴染同士の恋です。幼馴染ものは、その関係性の変化が一番の見所です。
ずっと友達だと思っていた VS いつの間にか恋心に変わっていた
いつ? どのタイミングで?? なんで??? 気持ちの変化のグラデーションと、友達だと思っていた相手から示される恋情に戸惑い焦るという鉄板萌えシチュエーションでございます。
年下の幼馴染に家庭教師をしてもらって大学に合格した泰造は、ずっと一緒に過ごしてきた育人が、大学ももちろん同じところに進学してくると勝手に信じていました。
これに関してはBL抜きにしても、いや年上の大学受験を手伝えるような成績の男が幼馴染がいるからなんて理由で、偏差値的に格下の大学に進学先を決めるとかありえんだろ!? と思いましたが、泰造は無邪気に大学も同じと無意識下で思い込んでおり、まさか東京の大学に進学して実家を離れるなんて思いもよらず、引っ越し当日になってまさに青天の霹靂、理解不能な現実に唖然としていました。
育人が引っ越した先に出かけて行って、育人が新しく作っていっている人間関係に嫉妬して、飲み会で独占欲をむき出しにしたり、育人の部屋の合鍵を持っていたオネエの友人にガチ切れして胸倉つかんでしまったり、あっさり返り討ちにあったり、育人の職場に突然押し掛けて土下座謝罪を始めちゃったりと、とにかく青くて可愛くて眩しい! 自分がされたら普通に許せないけど、BLだから萌える黄金パターンと言えるでしょう。
育人は早い段階で友情から恋に気持ちが変わっていましたが、泰造は第3者からドストレートに指摘されるまでいつの間にか恋に変わっていた気持ちに気付きませんでした。この時間差両想いが素直に胸キュンなのです。
それにしても育人が受験勉強中に思いあまって幼馴染の思い人に漏らしたセリフが「ねぇ、セックスしたい」はなかなかパンチが効いていましたね。それはさすがに泰造も自分に対して言われてるとは思わないですよ……。ストレートすぎるワードチョイス、なかなか刺激的でした。
クセのない幼馴染BL、ぜひ素直な気持ちで萌えていただければと思います!
©藤谷陽子/コアマガジン