2019.03.04
【マンガレビュー】『花盛り、恋盛り』高城リョウ【職も恋人もまとめてゲットな一発逆転BL!】
『花盛り、恋盛り』
失恋とともに職場を失って絶望し、評判の悪い潰れかけの旅館に自殺目的で宿泊したら、自殺を阻止されてその旅館の料理長にスカウトされました(ただし経営難につき足りない給料は若旦那が身体で支払う)。というお話でした。
書いてみたら身も蓋もないあらすじですね!
恋人と思って付き合っていた男が実は遊びで、「オーナーの娘を妊娠させちゃったから結婚する、職場で付き合ってる噂がたって困るからさっさと辞めろ」みたいなことを言われて放り出されたら、それは確かになかなかの絶望案件です。
若旦那の自殺志願者をかぎ分ける嗅覚はすごいですが、そのまま放りだすんじゃなくて雇おうとするのがぶっ飛んでるし、失恋したての男をつかまえて「私は博愛主義者ですから、そんなもの(性別)にはこだわりません」とさらっと言っちゃうあたり、妙な大物感が漂っております。
あれよあれよと言ううちに新しい職場と代わりの恋人をゲットした梅宮ですが、もちろんそうすぐには気持ちを切り替えて、給料代わりに差し出されたイケメンと恋することができません。
少しずつといわずに一気に距離を詰めてくるイケメン若旦那にドン引きします。あんなにひどいことをされてもまだ元彼が好きというメンタルがちょっと信じられないんですが、だからこそ引っかかっちゃったんでしょうね……。コマの端々から、梅宮の駄メンズ吸引オーラを感じずにはいられません。
そんなこんなで料理長として住み込みで働きながら、元彼に未練タラタラながらも徐々に天然人たらしとしか言えない若旦那に次第に惹かれていく梅宮。あっという間に好きになって、今度は「足りない給料の代わりに恋人として扱う」というところに引っかかってしまいます。純粋な気持ちが欲しい、給料の代わりになるくらいならそんな関係は解消したい! からの両片思い解消という流れるような展開。
要所要所をしっかり押さえてくる展開の萌的な安定感がたまりません。
この先、給料抜きに恋人関係になった雨宮が満額の給料をもらえるのはいつになるのかなとドキドキしつつ、オムニバス形式で展開されそうな本作の続編を待ちたいと思います。
©高城リョウ/徳間書店