2019.03.17

【マンガレビュー】『異世界おもてなしご飯』目玉焼き, 忍丸, ゆき哉【愛する妹のために平凡OLが料理の腕を振るう、グルメ系異世界ファンタジー!】

『異世界おもてなしご飯』

様々なアプローチで展開される異世界モノ。その中から今回は『異世界おもてなしご飯』をピックアップ。小説投稿サイト「小説家になろう」発の物語を原作としたコミカライズ作品で、その名の通りのグルメ系異世界ファンタジーです。

両親や祖父母を亡くしてから、妹のひよりと一軒家で仲良く暮らしてきた、平凡OLの小鳥遊茜。クリスマスイブに自宅で二人ゆっくりと過ごしていると、急に大きな揺れが。慌てて外に出てみると、ローブを羽織っていたり甲冑を着ていたりと、不思議な格好の面々が庭にずらりと並んでいました。

結論として彼らは王族や騎士、魔法使いなどで、茜とひよりは彼らによって異世界に召喚されてしまったというわけなのですが、理由としては、こちらの世界は現在大量の「邪気」に脅かされ人間が滅ぶ危機に直面していて、これを救うには「聖女」の力が必要だから。その聖女というのがひよりのことだったのですが、手違いでなぜか茜と自宅も一緒に召喚されてしまったのです。

意外にもひよりは「聖女」という役割に対してポジティブでお城で一生懸命に訓練を積んでいたのですが、少し経つと「異世界でもお姉ちゃんのご飯が食べたい!」と自宅に帰ってきてしまいました。そこで、茜は愛する妹のために美味しい料理を作ってサポートしてあげようと腕をふるうのですが、彼女のご飯の評判はお城の面々のみならず、他種族にも話題になっていき──、という流れで進められていく物語。

茜が異世界の住人たちに振る舞うのは基本的には元の世界の料理なので、そういった意味では『異世界居酒屋「のぶ」』や、『異世界食堂』と方向性は似ています。

異なるアプローチでいうと、茜はあくまで料理人やシェフではないため、出てくる料理があくまで家族のために作るおつまみや家庭料理である、ということ。

そのためなのか、あまり料理自体のディテールを描き込んでいくというよりは、彼女の料理を食べた人や、料理やお酒を嗜む彼女自身の美味しそうな表情をクローズアップしている点が特徴的です。心のこもった手料理や五臓六腑に染み渡る美酒をルンルンで楽しんでいるその様は、見ていて思わずほっこり。なんだか不思議と誰かと食卓を囲みたくなります。

また、始まりは妹を喜ばすために茜は異世界でも料理を続けたわけですが、段々と妹の活動にも関わるキーパーソンへも料理を振る舞う機会が増え、見方によってはまるで裏で暗躍する影のフィクサーのようになっていくのもおもしろいところ。世界の危機を救う冒険に出る人でなくそれを支える裏方にスポットライトを当て活躍させていくので、バトルなどの派手さはないものの、より心の揺れ動きや温もりにフォーカスされ展開していきます。

連載先の「ヤングエースUP」では多めにお話を読むことができますので、気になった人はぜひ一度チェックしてみてくださいね。

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この記事を書いた人

八木 光平

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