2019.04.10

ツンデレ、小悪魔系、クール、甘えん坊…どの私が好み?『疑似ハーレム』斉藤ゆう【おすすめ漫画】

『疑似ハーレム』

ツンデレ、クール、甘えん坊、どの私が好み?

ツンデレ、小悪魔系、無口クール……様々な属性の女の子に囲まれてちやほやされる状態、それが漫画やラノベで見られるハーレム。でも、そんな機会は現実にはありえない。だったら、あらゆる属性を一人の子が演じれば、なんちゃってハーレムになるのでは?

演劇部の先輩の、些細な「男に生まれたからには一度くらいモテてみてえよなあ。」の一言に反応した、後輩の女子・七倉凛。先輩に恋をしている彼女が行ったのは、様々な属性の女子の演技。先輩をドキドキさせる目論見だ。

彼女の演技力はとても高い。髪の毛をツインテールにして行うツンデレ演技では、先輩は顔を赤らめてありがたがる。小悪魔系の甘い囁きには、照れながら後ずさる。ぶりっ子な甘えんぼちゃんスタイルでは、詰め寄る彼女に先輩悶絶。無口クール女子になると、先輩はたじろぎっぱなし。

演じる七倉と、シチュエーションを楽しむ先輩。2人の時間はとても楽しそうだ。

ツンデレとクールは、全く別物なんじゃないかと思うくらい、七倉の演技力が高い。ただ、この作品は「別人を演じるハーレム」ではなく、全て「七倉の一面」として描かれているのがミソだ。

自分の思いを素直に言えない七倉は、甘えん坊モードだと「演技」にかこつけて先輩にぐっと距離を詰めることができる。話していて急激に緊張してしまった時は、ツンデレモードになればうまく「演技」ということで逃げ切れる。先輩をリードしてちょっかいがかけたくなったら、小悪魔モードになれば「演技」でドギマギさせて楽しめる。

「演技」という大義名分で、行動や口調はバラバラだが、全部七倉の気持ちを先輩に伝えているのだ。

先輩は「演技」だとわかっているから、七倉の属性演技の裏側には踏み込まない。もっとも七倉と一緒にいる時間がやたらめったら長い先輩、いい加減ある程度気づいている気もするのだが、ここも彼が「演技」という虚構に乗っかって演じ返しているので、本心が全くわからない。七倉も歯がゆくて仕方がない。

ただ、先輩は時折鋭い。

七倉「あの えっと…私も先輩の前で演技するの…好きです。」「ど…ど どうですか?今のお芝居ぃ…」
先輩「え~今の素だったろ今の~ 照れちゃって さすがにもう区別つくぞ~」
七倉「演技演技演技演技!…演技ですっ!!」

結局どこまでわかっているんだろう……? 演技をすれば近づけるけど、本心を伝えるのからは遠ざかるばかり。このむずがゆさに、たまらなくニヤニヤさせられる。

ツンデレとかクールとか、彼女が演じる属性は記号的なものだ。とはいえ人間の性格には、そんな単純な線引はない。

七倉は属性演技を通じて、自分の内面を多方向から見せる。そうすることで、彼女の様々な本心が見え、人間味あふれる豊かで魅力的なキャラクターになっている。

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