2019.05.06
「期待の営業 × 地味総務」カップリングの、切ないリーマンBL!『花降るふたり』ここのつヒロ【おすすめ漫画】
『花降るふたり』
「期待の営業 × 総務」のカップリングのリーマンラブです。
営業マンの水上は、17歳のときに文壇デビューを果たしていますが、2作目を出せずに筆を折った過去があります。しかもそのデビュー作自体が、兄の書きかけで行き詰っていた作品を盗作したものだったのです。
そんなことはもちろん知らない同期の総務・加久田は、水上に「大ファンだ」と伝えてしまいます。
当然、悪気などこれっぽっちもない無邪気な讃辞なのですが、水上にとっては苦すぎる過去です。加久田に惹かれていく水上ですが、加久田が賛辞と尊敬の目を向けてくれるのは過去の偽りの自分なのです。忌まわしい過去と、現在の好きをこじらせた水上は、自らの過去の真実をエサに加久田に肉体関係を迫ります。
自分で自分の首を絞めるようなものですが、加久田と関係を続けたい水上に手段を選んでいる余裕はありませんでした。仕事ではバリバリにデキる男な水上ですが、プライベートの恋愛ではとても臆病で、好きになった相手にも虚勢を張ってしまうんですね。この公私のギャップがたまりません。
加久田は加久田で、大ファンだった作家が同期の同僚でテンションが爆上がりしてしまいます。彼の過去が知りたい、いや、彼のことをもっと知りたいという気持ちのまま、言われるがままに身体を差し出します。
一度過去の話してしまったら終わる肉体関係が怖くてなかなか最後まで致せない水上と、ずっとじらされ続けてついに待ちきれなくなって別れを切り出してしまう加久田の切ない両片思い、もう最高ですね! どちらも相手のことが好きすぎて、臆病になってしまっています。
いい大人が二人揃って、なかなか素直に面と向かって自分の気持ちを伝えられないですれ違ってしまうんです。なにこの繊細な純愛……。萌えが溢れて大変です。
もちろん、最終的には本音を伝え合ってラブラブハッピーエンドなので安心してキュンキュンしていただければいいと思います。ぎくしゃくしてしまっていた水上とその兄も、最終的にはいい感じの関係に戻れそうな気配で安心です。お兄さん、別ジャンルの作家として大成してくれていて本当によかったです。
切ない系のリーマンBLが1冊に綺麗にまとまっており、読み応えも萌え具合もばっちりで素敵な作品でした。
©ここのつヒロ/芳文社