2019.05.13
混沌の新世界で繰り広げられる、ダークファンタジーBL『虚構ユニゾン』アキハルノビタ【おすすめ漫画】
『虚構ユニゾン』
ヒトがヒト以外の生物と交わって生まれた新人類「NEO」が幅を利かせる世界が、舞台のお話です。絵が綺麗で世界観とマッチしているのでとても雰囲気が素敵です。ちょっとダークな感じがたまりません。
昔は上流階級の貴族だった家も新人類の台頭で没落していき、「一乗寺家」も、新人類に跡取り息子の尻を差し出すことで後見してもらってかろうじで生き残っているようなありさまでした。その跡取り息子・一乗寺春野は、唯一自分を可愛がってくれた腹違いの兄が失踪してから5年、ずっとその行方を探し続けていました。
そしてついに、上流階級だけで完結した情報網では兄を見つけられず、アンダーエリア──いわゆる貧困層の情報屋・響に依頼を持ちこみます。
依頼を受けた響は、情報を取りに行った先で世間を騒がせている謎の怪盗「ノア」と出会います。この「ノア」が、実は春野なんですが、わりと最初から響はそれに気付いています。
春野は、兄を捜しながら響と接していく中で、少しずつその優しさに惹かれていきます。愛してくれた兄を探す過程で、本当に自分を愛してくれる相手が見つかるなんて、なんだか幸せの青い鳥みたいな展開です。
結局、響は春野の兄の父を見つけ、一乗寺家や春野の母親の秘密を知り、最終的には兄のことも見つけます。見つけますが、兄が春野にくれていた愛は、春野が求めているものとは違ったのでした。最終的に春野が選んだのは、見つかった兄ではなく、兄を捜すために依頼した響でした。
春野の、響に対する態度の変化がなかなか可愛くてとても楽しいです。最初は情報源としか思っていなかったのに、まずその腕に感心して、そこからどんどん深みにはまっていく感じがとてもBLっぽくて萌えます。
取り繕っていない春野ちゃん、とっても年相応の男の子でいいんですよね……。最高です。
BL要素以外にも、新人類NEOやそこに生きる人間が世界観に深みを出していて、お話としても面白く読めると思います。いくらいい感じに人間と他の動物をMIXしても、こんなにきれいに首から上だけライオンやニワトリになって、その下に二足歩行のすらっとした人間の特徴が丸ごと残るなんて、そんな都合のいいことになるわけが……とちょっと突っ込みたかったですけど、これが逆だとビジュアル的にとても残念なことになるので仕方がないですね!
人外BLというほどメインカップルに人外が絡んでいるわけでもないので、「モブ(人外)×受」が大丈夫なら安心して手を出していただけると思います♪
©アキハルノビタ/ジーウォーク