2019.05.23
なんて胸糞悪い百合なんだ!『わるいおんなのこ』佐久間結衣【おすすめ漫画】
『わるいおんなのこ』
救いがなさすぎる百合だけど……
佐久間結衣先生による『わるいおんなのこ』が全四巻で完結した。
清都女子学園高等部の美術部にひとりの転校生・葛城繭が入部したことから始まる、悲惨な物語。「見たもの」しか描けないという葛城は、自分のグロテスクでエロティックな絵画を完成させるため、葛城は部員たちに対して陰湿かつ暴虐の限りを尽くす。
自分の絵のためには、部員が大切にしている小鳥の頭を切断して天井に吊り下げることも厭わないし、自分に好意を寄せる子にお金を使わせた挙句、援交に走る姿を見ても心を痛めない。それどころか、自分の目の前で取り乱し崩れ落ちる彼女たちの姿に対して、「いいモデルが見つかった」と言わんばかりにペンを走らせるのだ。
そして、そんな極悪人の葛城(そして彼女を崇めるテオ)に対し、副部長の咲良凌が目を光らせる。咲良もまた葛城と同族で、自分の芸術のためにはあらゆる手段を厭わないところがある。二人は次第に「相手を描きたい」というエゴイスティックな気持ちからぶつかり合うようになる。
美しく才能がある美少女ふたりの争いは、かなりむごい形で決着を迎える。とにかく出てくる女の子たちがみんな、浅はかでかわいそうで救いがない。
とても理不尽で残酷なことばかりが起こるが(それは葛城にとっても、だ)、そこで中途半端な甘さを見せないまま物語を幕引きさせたのはいっそ清々しいようにも感じた。椅子にした少女のアナルにペンを突っ込む美少女の姿に抵抗がなければ面白く読める作品だと思う。
©佐久間結衣/講談社