2019.05.27
「バツイチ傷心のコーヒー屋店主 × 常連でゲイの文筆家」がおくる社会人BL!『その先のふたり』富士山ひょうた【おすすめ漫画】
『その先のふたり』
社会人BLです。オトナの恋というやつですね!
カップリングは、バツイチ傷心のコーヒー屋店主×常連でゲイの文筆家となっております。
どちらも成人済みで、攻さんには結婚歴までくっついています。ノリと勢いだけでは恋ができないお年頃になってしまっている二人の、ちょっと一筋縄ではいかない恋愛模様をお楽しみいただけます。
嫁に浮気された挙げ句に離婚を突き付けられた乙広は、常連でゲイの結城に飲みに誘われ、酒が入ったところでトイレに連れ込まれて下半身から口説かれ、そのままホテルになだれ込んでしまいます。
ノリと勢いだけでは~と書きましたが、初っ端は完全にノリと勢いしかありませんでした。あれよあれよといううちにお洋服を脱いでしまい、ふたりともすっぽんぽんです。オトナの駆け引き? 知らないシチュエーションですね……。
結城も、好みだった店主がまさかの展開でこちら側に転がり込んできたものの、当初は1回きりのつもりでした。それが相性が良かったことも相まっていつの間にかなし崩しに身体の関係が継続することに。ただ、コーヒー屋は地元の商店街の中にあり、ご近所づきあいも濃厚です。離婚の話が広がったとたん、商店街の組合長が見合い写真を持ち込むようなありさまです。
そんなところで、まかり間違えても乙広が常連の男と身体の付き合いがあるなどと言う噂を立てるわけにはいきません。付き合うという話もないまま続いていた身体の関係ですが、乙広が心を決めて告白する前に、あれこれと忖度してしまった結城から別れ話を切り出します。
大人って、お互いの好きだけでは続けていけない関係ってありますよね……。しかし、一度は関係を断ち切ったものの、お互い納得づくで別れたわけではないので、二人揃ってぐるぐるぐるぐると日常生活に支障をきたすレベルで悩みます。なんだかんだいって、二人とも相手から離れたくなかったわけです。
結局、完全に離れがたく思ってまたコーヒー屋に行こうとしてしまった結城は、完全に腹をくくった乙広の地元商店街ど真ん中での付き合ってます宣言によって完全に落とされます。……なぜ結婚生活時にその勇気が出せなかったの乙広さん。という見事な公開告白でした。
社会人の雨降って地固まる恋、いい感じにまとまってくれてほっとしました。学園もの系にはない、生活がかかった感じの葛藤に萌えが迸る1冊でした。末永く商店街の名物カップルとしてお付き合いを続けていただきたいと思います。
©富士山ひょうた/新書館